日本刀剣図録本写真解説山城鍛冶国宝重文重美太刀95点来派綾小路粟田口派三条三日月宗近へし切長谷部来国光吉光鶴丸国長鬼丸国綱平野藤四郎

日本刀剣図録本写真解説山城鍛冶国宝重文重美太刀95点来派綾小路粟田口派三条三日月宗近へし切長谷部来国光吉光鶴丸国長鬼丸国綱平野藤四郎 收藏

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図録・写真解説本 刀剣 山城鍛冶

昭和50年 発行
至文堂
監修 文化庁・東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館
佐藤寒山 篇
図版撮影 大塚巧藝社・要史康・柳本正・宮原尚永堂
102ページ
約22.5*18*0.7cm
カラー(口絵写真)モノクロ


※絶版

一冊丸ごと、「山城鍛冶」について深く掘り下げて紹介。
三条系、粟田口系、綾小路派、来派、信国派、長谷部派、三条吉則派…
日本刀の中でも山城国に存在した山城鍛冶に注目し、国宝・重要文化財・重要美術品・重要刀剣・御物などの刀剣、太刀、脇差、短刀、槍のカラー・モノクロ写真図版95作品を収録し、解説したもの。

山城鍛冶の著名刀工を中心とした刀名作集兼基礎資料集。

寸法、銘、所蔵先ほか見どころや来歴など詳細情報と解説、論考。
巻末は「用語解説」。
反りの種類、鋒の種類、鍛肌の種類、地金の働き、刃文の種類・働き、帽子の種類、茎の形、鑢の種別、銘の種別など刀剣特有の専門用語図解などを収載した大変貴重な資料・小ぶりながら解説テキストは二段組で内容充実、
初心者にもわかりやすく、かつ研究書ともなる絶版図録本。

その分野における研究の第一人者による渾身の解説論考は、内容充実、初心者にもわかりやすく、かつ専門的内容まで踏み込んだ情報満載の研究書となるもの。
一般美術書の枠を超えて、数多くの書籍や論文に引用されてきた参考文献。

編者【佐藤寒山】(佐藤貫一)日本を代表する刀剣学者。(財)日本美術刀剣保存協会常務理事。刀剣博物館副館長。
日本刀研究の権威として知られる。特に新刀の研究で知られ、古刀の研究で知られる本間薫山と並んで、しばしば両山と称される。


【目次より】
序説
各論
後鳥羽上皇の事どもと番鍛冶
三条系
三条宗近/三条吉家/五条兼永/五条国永/三条近村
粟田口系
粟田口国友/久国/国安/国清/有国/国綱/則国/国吉/国光/藤四郎吉光/景久その他
綾小路派
定利/定吉/油小路忠吉と忠家
来派
国吉/国行/二字国俊・来国俊/来国光/来国次/来国末/了戒及び了久信/中堂来光包/来国真/来倫国/その他の来派
信国派
長谷部派
平安城派
三条吉則派
新刀各派
図版目録
参考文献
用語解説 反りの種類、鋒の種類、鍛肌の種類、地金の働き、刃文の種類・働き、帽子の種類、茎の形、鑢の種別、銘の種別

【序文より】
 山城国は、その古は、「山代」あるいは、「山背」の国と称し、丹波の東部の地で、水尾山・愛宕山・大悲山などを背にし、保津川峡谷を中心とした地方で、自然に一区域をなしている。延暦十三年に桓武天皇が奈良の平城京から都をここ平安城に遷し、由来、山城国と改めた。
 中央は朱雀大路であり、爾来幾多の変逃を重ねたが延暦の大体の古制は、加茂川を東限として、これを左京といい、双岡西を西限として右京と称した。
 延暦遷都の後、約百十余年、朱雀天皇の承平年間から天慶年間(938~947)は東に平将門、西に藤原純友ら天下に内乱がしきりに起こり、ために京師の勢力はようやく衰え、加うるに皇居に数度の火災があるたびに、それぞれ離宮とか外戚の家に難を避けることが行なわれた。これを里内裏と呼ばれた。律令格式も失われてしまい京制もまた乱れたことは残念である。
 保元元年(1156)、再び大内裏が造営せられたが、翌二年には崇徳上皇が源為義以下を召して、白河殿に兵を集められたために平清盛は白河殿を囲み、遂に白河殿を焼き、京師も到る所に火災を起こした。これがいわゆる保元の乱である。超えて平治元年(1159)十二月には、藤原信頼・源義朝が二条天皇を幽し、謀叛を計り、夜、三条殿を焼いたために、京都一面はこの源平の争いで焼野ヶ原と化してしまった。
 やがて源頼朝が兵を挙げて京都を攻めるに及び、安徳天皇は平家一門に擁せられて西海に落ち、源頼朝が兵馬の権を掌握するようになり、全く延暦の古規も政治の実権も亡失するに至った。
 かくて鎌倉時代を経て、室町時代となり、幕府は鎌倉の地から、京都室町に移ったが、応仁元年(1467)、細川・山名の両氏が権を争い、相戦い、日夜抗争し、ために京師は到る所令く火の海と化し果てた。これを応仁の乱という。織川信長が足利幕府に代わりて政権を握るに及んで、京都はようやく蘇生の思いをした。
 次いで豊臣秀吉が更に修造するところがあって、京都は初めて旧態に復することができた。しかし秀吉の大志も慶長三年に甍ずることによって中断され、慶長五年には天下分け目の関が原の戦いを経て、遂に。元和二十年、大阪冬の陣に豊臣氏は滅亡し、世は挙げて徳川氏の天下になった。
 徳川幕府の政策は、京都抑圧の手段に終始したが、都市の経済的発展には到底抗しきれず、京の町は次第に拡大して行き、明治維新の後は、帝都が東京に遷された関係上、やや寂寥を加えた。現今は歴史の町、観光の町として活気を示しつつある。
 歴史に立脚して、古制に基づいて刀鍛冶の製作地を探ってみることにする。ただし、今の京都の地にそれをあてはめることは困難であるが、きわめて大よその見当となろう。

1 西洞院大路
 油小路 鎌倉末期に油小路に住したという忠吉なる刀工がいる。また南北朝にも油小路忠家なるものが存在する。その他の刀工の名は聞こえておらず、現存する作刀もすこぶるまれである。
 堀川小路 ここには桃山時代に田中信濃守国広をはじめ、当時錚々たる新刀鍛冶が住した。
2 大宮大路
 備前の大宮鍛冶盛景らは、山城国大宮の出で、ここから移住したものという。ただし、愛宕郡にも大宮というところがあって、処の神社の名をとって遂に地名のごとく呼ばれている。神社の本名は久我神社といい、久我神社は延喜式に列している。果たして備前大宮派はいずれの地から移住したものであろうか、判明せぬ。
3 三条大路
 平安中期ころに宗近という名工があり、鎌倉期にわたって三条派が繁栄した。世に三条の宗近と伝えるだけで、どこに住したものであるかを明らかにしない。また、三条の吉則ら、鎌倉末期から室町時代に活躍した三条派は宗近の後裔とは信じがたいが、これも果たしてどこに住していたかがわからない。
4 四条大路
 綾小路 鎌倉中期以前から、定利(孫五郎と称したと長享の写本にある)・定吉らの名があり、作刀も存在する。後の信国もその後裔と伝えている。
 五条坊門小路 長谷部国重は長享本に「長兵衛次郎、建武年中也」とあって、実物に照らして少しく時代を上げ過ぎてはいるが、この一門は五条坊門猪熊(猪隈とも)に住したと伝えている。
5 五条大路
 平安朝時代に三条の宗近の門人と伝える兼永・国永は、通称五条兼永・国永と称されている。ただしこの一門の居住地は五条という以外は不明である。
 粟田口 この地に鎌倉初期から多くの名工が存在した。記録の上からは平安朝の末ころから、粟田口に鍛冶者のいたことを物語っているのが、『宇治拾遺物語』である。粟田口は近江路から京都の入口にあたる地で、東国街道の要衝として、三条筋に通ずる。
 粟田口物系図には、この派は国頼(長享本に「非鍛冶」と注している)を祖とし旧家・国友ら一類の刀工のことを記している。なお、居住地を明らかにしないものに、山城刀工中で屈指の流派である来一派である。
 一書に綾小路定利と来国行は家を隣して住み、互いにその作刀を融通しあったと伝えているが、さすれば来一派は四条大路綾小路付近に住したこととなる。しかし、綾小路定利には年紀がなく、来岡行に比してはいささか時代が逆のぼるもののように思われる。そして綾小路定利の作刀に、来国行にほとんど見紛う作風のものがまれに存する。
 鞍馬派は南北朝以後、室町時代に活躍を見るが、愛宕郡に鞍馬村があり、京都の北三里、鞍馬寺があり、その四北に貴船神社がある。この寺は歴史の古い寺であり、鞍馬派の刀工は、これらの寺に所属し、この地方に散在していたものであろうか。
  鎌倉末期以来の平安城光長・長光、下って室町時代の平安城長吉各代は、果たして京都のどの辺に居住したものであろうか。平安城住と銘記しているだけで判明を欠くことは残念である。ただし後世の長吉には「三条」と冠したものもある。

【図版目録より】
重文 太刀 菊御作
御物 太刀 銘宗近     宮内庁
御物 太刀 銘国訓(鬼丸国綱) 宮内庁
国宝 小太刀 銘来国俊 日光二荒山神社
重美 太刀 銘来国光
重文 太刀 銘来国次
国宝 刀 金象嵌
      銘長谷部国重本阿(花押)
      黒田筑前守(名物へし切長谷部)
太刀 銘定利
重文 短刀 銘来国光(名物新身来)
重文 短刀 銘来国光
       元徳二年
重文 短刀 銘信国
太刀 銘三条(名物三日月宗近)
太刀 銘吉家作   東京国立博物館
重文 太刀 銘兼永   刀剣博物館
御物 太刀 銘国永(名物鶴丸) 宮内庁
重文 剣 銘国永
太刀 銘近村    東京国立博物館
太刀 銘宗近村上  東京国立博物館
重文 太刀 銘国友    熱田神宮
国宝 太刀 銘久国
重文 短刀 銘久国
太刀 銘国安    東京国立博物館
重文 太刀 銘国清
重文 刀 折返銘有国    神宮司庁
重文 太刀 銘則国    熱田神宮
国宝 太刀 銘則国
重文 太刀 銘国吉
重文 短刀 銘国吉
重文 剣 銘国吉
重文 太刀 銘国光
          黒川古文化研究所
剣 銘左兵衛尉藤原国光
   正和十年十二月日
           東京国立博物館
御物 短刀 銘吉光(名物平野藤四郎)
               宮内庁
国宝 短刀 銘吉光(名物厚藤四郎)
           東京国立博物館
国宝 短刀 銘吉光(名物後藤藤四郎)
             徳川黎明会
国宝 剣 銘吉光   白山比咩神社
短刀 銘景久(粟田口)
国宝 太刀 銘定利 東京国立博物館
重文 太刀 銘定利    日枝神社
太刀 銘定吉    東京国立陣物館
重文 太刀 銘忠吉    諏訪神社
短刀 銘油小路忠家造
    延文三年仲春日
国宝 太刀 銘国行
重文 太刀 銘国行
太刀 銘国行
太刀 銘国行
太刀 銘国俊
     弘安元年十二月口
           東京国立博物館
重文 太刀 銘国俊 東京国立博物館
重文 短刀 銘国俊(名物愛染国俊)
国宝 太刀 銘来国俊
国宝 短刀 銘来国俊
重文 太刀 銘来国俊
      正和二二年十月廿三日口口歳七十五
             徳川黎明会
国宝 短刀 銘来国俊
        正和五年十一月口
              熱田神宮
剣 銘来国俊
重文 太刀銘米国俊
       元応元年八月日
太刀 銘来源国俊作
     元応三年正月日
           東京国立博物館
国宝 太刀 銘来国光
        嘉暦二年二月日
           東京国立博物館
国宝 太刀 銘来国光
           東京国立博物館
重文 短刀 銘来国光(名物池田来)
重文 太刀 銘来国光
国宝 短刀 銘来円光(名物町有楽来国光)
短刀 銘来国光
    貞和三年六月一日
国宝 脇差 銘来国次
重文 太刀 銘来国次
槍 銘来国次
重文 脇指 銘来国次
重文 短刀 銘了戒(名物秋田了戒)
短刀 銘了戒   黒川古文化研究所
太刀 銘了戒    東京国立博物館
短刀 銘了久信
    延座三年十二月六日
           東京国立博物館
重文 短刀 銘光包
重文 短刀 銘光包(名物乱光包)
重文 太刀 銘来国長    恵林寺
重要刀剣 脇指 銘来国長
脇指 銘来国真   東京国立博物館
短刀 無来倫国   東京国立博物館
重文 脇指 無銘信国
重美 短刀 銘信国
       延文三年十二月日
短刀 銘信国
    応永八年二月日
重美 小太刀 銘源左衛門尉信国
        応永卅二二年二月日
脇指 銘信国
重文 脇指 銘奉富士本宮源式部丞信国
       一期一腰応永卅二二年二月日
           富士浅間神社
脇指 銘源式部丞信国
重文 刀 無銘伝長谷部国重
重要刀剣 脇指 銘長谷部国重
         文和二二年八月日
重文 脇指 銘長谷部国重
重文 脇指 銘長谷部国信 熱田神富
重美 短刀 銘平安城住光長
       元亨二年二月日
         黒川古文化研究所
重文 太刀 銘吉則    榊山神社
刀 銘吉則
大身槍 銘平安城吉則作
重要刀剣 刀 銘平安城長吉
脇指 銘平安城長吉作
脇指銘平安城長吉
短刀 銘長吉作   東京国立博物館
短刀 銘三条長吉作 東京国立博物館
大身槍 銘平安城長吉

【作品解説より】
第2図 御物 太刀 銘国綱(鬼丸国綱)宮内庁
鎬造、庵棟、輪反り風に反り高く、中鋒、かますごころとなり、鍛えは小板目、小杢目交じり、肌よくつみ、地沸つき、地斑入る、刃文は総体に浅く湾れ、小乱れ交じり、総体に小沸よくつき。小足・葉入り、表裏に腰刃を焼き、帽子は乱れ込み、大丸ごころに返る。
茎は生ぶ、先粟尻、鑢目勝手下り、目釘孔一、表目釘孔の上、棟寄りに太鏨の二字銘がある。ちなみに室町時代の朱漆塗や包の太刀栫が付属し、この種の拵えの本科で、鬼丸拵と称え、責重なものである。長さ84.15cm、反り3.03cm。

第3図 国宝 小太刀 銘来国俊(日光二荒山神社)
鎬造、庵棟、細身で腰反り風の反り商く、小鋒、茎は雉子股。反りつき、刀身に比してやや長く、先細って栗尻となり、来国俊と銘があるが、「俊」の字はやや朽ちて判然としないが、「来」の字の手癖によっても国俊であることが明白である。小板目のよく約んだ地沸の細かい鍛えに典型的に直刃で匂口が締りごころに小沸つき、小足、砂流し、金筋などの働きも見事である。この太刀には簡素な苧糸で蛭巻にした拵えが付属しているが、ほぼ製作当時と思われる貴重な資料である。鞘に「奉寄進金子玄忠(花押)」奉納の朱書がある。
長さ54.39cm、反り1.67cm。


第4図 重美 太刀 銘来国光
鎬造、庵棟、磨上げながら中反り高く、中鋒となり、鍛えは板目、肌よくつみ、刃文は直刃に小足人り、総体に匂口締りごころに小沸よくつき、帽子は小丸、表裏に棒樋を掻き流し、新目釘孔1、もと目釘孔(なし)の上、棟寄りに3字銘がある。この刀は徳川家康の愛刀の一つである。73.9cm、反り2.3cm。

第6図 国宝 刀 金象嵌 銘長谷部国重本阿(花押)黒田筑前守(名物へし切長谷部)
鎬造、庵棟、身幅広く、重ね薄く、反り浅く、大鋒となり、鍛えは板目肌よくつみ、地沸厚く地景入り、冴えて明るく、刃文は小湾れに小互の目交じり、小足・葉しきりに入り、途中大乱れとなり、飛焼しきりに皆焼風となり、砂流し、金筋かかり。荒目の沸つき、帽子表は乱れ込み大丸、裏は乱れ込み焼詰めごころとなり、ここにも盛んに沸つく。表裏に棒樋を掻き通し、茎は大磨上げ、目釘孔5。
中3個埋、本阿弥光徳の金象嵌並びに黒田筑前守(長政)の所持銘がある。この刀は信長の愛刀で、秀古に伝わり、秀吉から長政が拝領したもので長谷部国重の白眉でこの刀あって長谷部の名が高い。拵えは長政が苦心して作らせたもので、さすがにこの刀に似合う豪華なものである。長さ64.8cm、反り0.9cm。

ほか

★状態★
昭和50年のとても古い本です。
外観は通常保管による背ヤケ、スレくすみ、ヤケしみ、裏表紙側に輪染みあり。
扉・奥付に古書店ラベル跡あり、
天小口・本文余白部に経年並ヤケ・しみ、はじめの数ページ上端部の綴じが弱い
などそれなりに中古感がありますが、
目立った書込み・線引無し、問題なくお読みいただけると思います。
(見落としはご容赦ください)


<絶版・入手困難本>オークションにも滅多に出ない、貴重な一冊です。
古本・中古品にご理解のある方、この機会にぜひ宜しくお願いいたします。


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■商品が到着しましたら、必ず「受取連絡」のお手続きをお願い申し上げます。
■中古品です。それなりの使用感がございます。
モニタのバックライトの作用により、写真画像は実際よりきれいに見えがちです。
■絶版・廃盤、一般の書店で販売されない限定販売、
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■「かんたん決済支払明細」の画面を保存・印刷することで領収書に代えさせて頂きます。
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