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秋田藩佐竹家伝来『備前長船長義』本阿弥光勇折紙 大切先豪壮体配 華麗なる相伝備前伝 福永酔剣鑑定折紙 古鞘書・本阿弥弥三郎鞘書


長義は南北朝時代中期に活躍し、長船光忠の子である真長の後裔と
言われています。相伝備前と呼ばれている南北朝時代の多くの備前鍛冶の
中で、兼光と双璧をなす技量を持った名工です。正宗の高弟である十哲の
一人に挙げられており相州伝を多分に取り入れたその作風は備前刀にあって、
もっとも備前らしからぬ作風と古来より言われています。それほどの
際立った作を残していることから天才肌の刀工であった事が伺えます。
この刀は鎬造、庵棟、身幅広く、元先の幅差があまり目立たず、重ね厚め、
反りやや浅めにつき、切先は延びて大切先となっています。幅広で大切先の
堂々とした如何にも南北朝という刀姿は豪壮で迫力があります。まさに典型的な
相伝備前伝の姿であると思います。鍛えは板目肌に杢が交じり、地沸が微塵に
厚くつき、地景がよく入り、長義らしい抜群の鍛えになっていると思います。
刃文はのたれ、丁子、互の目、など多様な刃を交え、華やかに乱れ、足や葉が入り、
小沸がついて、金筋、砂流しがかかっています。帽子は乱れ込んで先が掃きかけて
返っています。表裏に棒樋があります。茎は大磨上無銘となっています。
本阿弥家十四代目光勇の折紙が付属し三十枚の極めとなっています。本作は
久保田（秋田）藩佐竹家に伝来していた一振りで鞘の表に蔵番号の入った
古鞘書があり、祐筆や記録係によるものと思われます。裏には明治後期から昭和初期に
活躍した本阿弥弥三郎の鞘書があり伝来を添えています。また昭和平成を代表する
著名刀剣研究家である福永酔剣の鑑定部折紙が付属しています。長らく研磨されて
いないと推測され少し古研ぎとなっております。現状で鑑賞に問題と思いますが
研ぎ上げれば一層良くなると思います。名門武家である佐竹家に伝来し豪壮体配に
大模様で華麗ながらゆったりと山のような落ち着いた刃文を焼き上げて豪壮で
手持ちもズシリときます、相伝備前の長義を代表する一振りだと思います。

長さ/67.0㎝　反り/1.2㎝
元幅/30.3mm 元重/7.2mm 先幅/23.3mm 先重/5.4mm 刀身のみの重量720g
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