
文庫です。 きれいなほうです。
あの日、医師たちは何を見、どう行動したのか──津波の恐怖にさらされ、家族との別れを覚悟しながら患者を誘導、極寒の病院の屋上で人々を励まし続けた医師がいた。自身も心に深甚な傷を負い、ともに涙して患者を癒した医師がいた。
個人とプロフェッションの狭間で揺れながら、彼らはなぜ行動し、何を目指したのか。9名の医師による東日本大震災の貴重な証言、感動のドキュメント。
【目次】
その時、「お前は医者じゃないのか! 」という声が聞こえました
……宮城県南三陸町 公立志津川病院内科医・菅野武
心のケアの専門家だから傷つかないわけではないんです
……宮城県名取市 東北国際クリニック院長・桑山紀彦
この避難所「ビッグパレットふくしま」で命を失った方は一人も出ませんでした。それが一番の誇りです
……福島県双葉郡 富岡中央医院院長・井坂晶
心の問題で自殺する人を一人でも減らしたい
……千葉県松戸市 旭神経内科リハビリテーション病院院長・旭俊臣
震災を機に医療の力を見直してほしい
……岩手県大槌町 植田医院・植田俊郎
日本のような先進国で身元不明者がいるなんて絶対に許せません
……宮城県歯科医師会 大規模災害対策本部身元確認班班長・江澤庸博
災害時の医療統括の重要性を痛感しました
……千葉県市原市 五井病院理事長・川越一男
医療がないと人は離れていく。医療が立ち上がれば安心する
……岩手県陸前高田市 県立高田病院院長・石木幹人
患者さんと話していると、自分まで癒されます
……岩手県宮古市 国民健康保険田老診療所所長・黒田仁
いのちを救い、死を悼む……海堂尊
ひとの善意を壊すもの──文庫版後書き
海堂尊
1961(昭和36)年、千葉県生れ。医学博士。外科医、病理医を経て、現在は重粒子医科学センター・Ai情報研究推進室室長。2005(平成17)年、『チーム・バチスタの栄光』で「このミステリーがすごい! 」大賞を受賞し、翌年、作家デビュー。確かな医学知識に裏打ちされたダイナミックなエンターテインメント作品で、読書界に旋風を巻き起こす。2008年、『死因不明社会』で、科学ジャーナリスト賞受賞。他の著書に『ジェネラル・ルージュの凱旋』『イノセント・ゲリラの祝祭』『ケルベロスの肖像』『極北ラプソディ』『スリジエセンター1991』『輝天炎上』『ジーン・ワルツ』『マドンナ・ヴェルデ』『ガンコロリン』『ほんとうの診断学』などがある。