三条右大臣の和歌・仙台藩3代藩主・伊達綱宗の夫人で宇和島藩・藩主・伊達宗贇(むねよし)の母・三沢初子・自筆「百人一首」和歌番号25

三条右大臣の和歌・仙台藩3代藩主・伊達綱宗の夫人で宇和島藩・藩主・伊達宗贇(むねよし)の母・三沢初子・自筆「百人一首」和歌番号25 收藏

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仙台藩3代藩主・伊達綱宗の夫人・三沢初子・自筆「百人一首」のうち、三条右大臣の和歌

元々は、茶会の「茶掛」として掛軸に表装されておりました。

海外展示の際に「額縁」に装丁されたものです。

自筆下部の印は、三沢初子の落款(印譜)

原本自筆上部には、「花林(かりん)好(よろ)しく佳(あ)れ (しょうすい)すること莫(な)かれ」、漢詩の意味は「花咲く林よ、どうぞ達者で、元気をなくさずに」というものです。この漢詩は、中国・元和15年(820)秋、白楽天が忠州を離れる際の作です。 三沢初子は、仙台藩第3代藩主綱宗の夫人となっておりますが、のちのお家を揺るがす漢文事件が起こっております。寛文事件が収束したとき、初子はまげの中の仏を綱村に与え、「これはあなたの守り本尊だから、城外に安置しなさい」と伝えられております。綱宗は幕府との対立により隠居を命ぜられておりますが、その際に白楽天の漢詩を引用し綱宗を励ましたのではないかと推測されております。三沢初子は、和歌や漢詩の素養もある教養のある女性として知られておりますが、「百人一首」を記す際、白楽天の漢詩を読み理解し共鳴していることがよくわかる。詳細な理由は下記説明欄に記載。

出品した「百人一首」自筆の内容(原文の読み下し文)は次の通りです。


「三条右大臣(さんじょうのうだいじん)」


「名にしお(負)はゝあふ()逢坂(あふ)坂(さか)山のさねかつら 

            人に志(し)られてく(久)るよしもかな」  


(文責・出品者)
「原文の読み下し文」は、読みやすいように「通行訳」(教科書仕様)としております。
落札後に一文字ごとの読み下し文を添付いたします。


(原文の現代語訳)

「三条右大臣(さんじょうのうだいじん)」


「逢って寝るという名を持っているならば、その逢坂山のさねかずらは、

      たぐれば来るように、誰にも知られずにあなたを連れ出すてだてが欲しいよ。。」



現代語訳の出典:「小倉百人一首」鈴木日出男(東京大学名誉教授)

備考:「三条右大臣(さんじょうのうだいじん)」は、承和十二~延喜三(845-903) 。参議文章博士是善の子。母は伴氏。 貞観四年(862)、文章生。同九年正月、文章得業生。同十二年、方略試に及第。玄蕃助・少内記を経て、同十四年、存問渤海使を拝命。兵部少輔・民部少輔を経て、元慶元年(877)、式部少輔。さらに文章博士を兼ね、当代随一の学者として名実を兼ね備えた。元慶八年(884)、太政大臣の職掌の有無について下問され、職掌無しとの意見書を提出するが、これは太政大臣藤原基経に国政を委ねようとしていた光孝天皇の不興を買ったという。この事件の影響に学界の嫉視も重なって、仁和二年(886)正月、文章博士・式部少輔を解任され、讃岐守に左遷される。赴任中、阿衡の議が起こったのを機に急遽帰京し、橘朝臣広相を擁護する意見書を基経に提出した。寛平二年(890)帰京。以後は宇多天皇の信任を得、順調に昇進。蔵人頭・式部少輔・左京大夫などを歴任し、同三年、参議に就任。左大弁・春宮亮などを兼任した。寛平四年、『類聚国史』を撰す。寛平六年八月、遣唐大使に任命されるが、唐の疲弊などを理由に遣唐使停止の議を上奏、結果遣唐使は廃止されるに至った。同年十月、中納言。同九年六月、権大納言兼右大将。同年七月、宇多天皇は敦仁親王に譲位して醍醐天皇の御代となる。この時宇多は奏請・宣行はすべて藤原時平と道真の二人に諮るよう新天皇に命じた。昌泰元年(898)十月、宇多上皇の吉野宮滝行幸に供奉。この時詠んだ歌が古今集に残る。昌泰二年(899)二月、時平の左大臣昇格に伴い右大臣に就任。翌年、三善清行より辞職の勧告を受ける。昌泰四年正月、従二位に叙せられるが、その直後、突如大宰権帥に左降。道真の女子が嫁いでいた斉世親王(醍醐天皇の弟宮)を天皇に擁立しようと企てたとの嫌疑であった。宇多上皇の弁護も空しく、同年二月、筑紫へ出立。年少の子女のみ同行を許されたという。二年後の延喜三年(903)二月、大宰府にて逝去。安楽寺(現在の大宰府天満宮)に埋葬された。死後、本官に復され、太政大臣を追贈される。また怨霊として怖れられ、永延元年(987)、北野天満宮天神の神号が贈られた。


「額縁入原本」


(自筆表面の凹凸はストロボの反射によるものです。)

「自筆原本」


(自筆表面の凹凸はストロボの反射によるものです。)
原本下の印は、三沢初子の落款。
原本自筆上部には、「花林好佳莫」の漢詩。読みは「花林(かりん)好(よろ)しく佳(あ)れ (しょうすい)すること莫(な)かれ」、
漢詩の意味は「花咲く林よ、どうぞ達者で、元気をなくさずに」というものです。


「断層画像写真」


《断層画像写真番号(和歌番号と同じ)-25》
印は、仙台第3代藩主夫人・三沢初子の落款(印譜)。
拡大画像によって大名の夫人らしい品格のある書の勢いと速さを確認することができる。
三沢初子は、漢文と違った和歌の素養を発揮しなめらかで、やわらかな書体は、茶室の雰囲気を重厚なものにさせた。



参考資料:「三条右大臣(さんじょうのうだいじん)」


出典・財団法人小倉百人一首文化財団・所蔵




「百人一首」原本の和歌番号100(順徳院)に記されている仙台藩の藩印

写真右下の角印が仙台藩の家紋印(竹に雀)
家紋印の上の2つの印は仙台藩主第三代藩主・伊達綱宗の夫人・三沢初子の印。冬姫は内大臣・通誠の養女。
原本自筆上部には、「花林好佳莫」の漢詩。読みは「花林(かりん)好(よろ)しく佳(あ)れ (しょうすい)すること莫(な)かれ」という漢文の篆書印が押捺されている。
言葉の意味は、「花咲く林よ、どうぞ達者で、元気をなくさずに」です。白楽天の有名な漢詩です。
右端の写真上は仙台藩主(伊達家)正室一覧表の表紙。表紙の下は一覧の拡大写真(仙台市立博物館・刊行)


「額縁裏面ラベルと三沢初子の銅像写真」


上段が、額縁裏面ラベル。下段の写真は三沢初子の銅像(東京都目黒区・正覚寺)。

仙台第3代藩主夫人・伊達綱宗の夫人・三沢初子・自筆(直筆)「百人一首」を出品
自筆者に関する説明 自筆「百人一首」自筆には、「初子」の落款がある。三沢初子(みさわ はつこ、みざわ はつこ、ともいう。寛永17年~貞享3年は、仙台藩第3代藩主伊達綱宗の夫人。三沢氏とも称す。伊達綱宗は正室を持たなかったため実質的には正室とみなされていた。 万治元年(1658年)、伊達綱宗は父の第2代伊達忠宗の跡を継ぎ第3代仙台藩主になった。翌年の万治2年(1659年)3月8日、初子は仙台藩伊達家の江戸屋敷にて第1子の亀千代(伊達綱村)長男を産む。寛文6年(1666年)には伊達宗贇(三男)を産む。 伊達宗贇(だて むねよし)は、江戸時代前期から中期にかけての大名。伊予国宇和島藩3代藩主。官位は従四位下・遠江守、紀伊守、侍従。父は仙台藩第3代藩主伊達綱宗、母は三沢初子。実の兄は仙台藩第4代藩主伊達綱村。
自筆 自筆切の稀少価値は、和紙の生成技法の緻密さにあります。上の「拡大断層(MRI)写真」でわかる通り、極めて薄い和紙の上に墨の文字がくっきりと浮き上がるように「日本外史」の文字が記されております。
出品している書の「断層(MRI)写真」の原板は、レントゲン写真と同じ新聞の半分ほどの大きさのフィルムです。落札後には、見やすいようにA4サイズの「光沢紙」に転写し交付いたします。肉眼では見ることのできない和紙の繊維の一本一本のミクロの世界を見ることができます。日本国内では医療用以外には見ることのできない書の「断層(MRI)写真」です。
古切の書は、一旦表装を剥離し分析と鑑定検査のために「断層(MRI)写真撮影」をしております。撮影後、展示のために再表装をしております。掛軸や屏風にすることが可能なように、「Removable Paste(再剥離用糊)」を使用しているため、自筆の書に影響をあたえずに、容易に「剥離」することができるような特殊な表装となっております。

断層(MRI)写真 従来、日本の古美術の鑑定の際の分析・解析は、エックス線写真、赤外写真、顕微鏡が中心です。一方、アメリカやイギリスでは研究が進み和紙の組成状況を精確に分析・解析をするために断層(MRI)写真が利用されており、今回の出品に際し、「断層(MRI)写真」を資料として出しました。本物を見分けるための欧米の進んだ分析・解析技術を見ることができます。

寸法 「百人一首」原本の大きさ タテ23.7センチ ヨコ15.3センチ。額縁の大きさは、タテ40.0センチ ヨコ30.0センチ。額縁は新品です。

解読文 出品した書には、「原文の読み下し文・現代語訳文」(解読文)を掲示し、平易に解読し読むことができるようにしております。

稀少価値 落款印譜
自筆「百人一首」には、三沢初子の名である「初子」の押捺があり、

仙台藩医・木村寿禎の落款(印譜)もある。
HP 三沢初子・自筆「百人一首」の和歌の書を出品いたしました。出品以外の所蔵品を紹介した出品者のホームページ「源氏物語の世界」をご覧ください。

ツイッター「源氏物語の世界」 も合わせてご覧ください。


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