今から約42年以上前のPONYカセットの『落語・
浪曲・講談』(非売品)である。昭和戦後の大衆芸能を
彩った各界の名人上手のその名を連ねている。落語では
『古今亭志ん生名作選』100席以上所収をはじめ、文
楽・三木助・金馬・円歌・柳好・柳枝・正蔵・金語楼・
今輔ら。見逃せないのは昭和51年に47歳の若さで急
逝した初代金原亭馬の助の貴重なネタ9席も記載されて
いる。いまやネット時代だけに、昭和末期の印刷物は
【内容説明と私の取材裏話】
また、この三つ折り6面パンフの表紙タイトル『落語
・浪曲・講談』をはじめ、中見出しの寄席文字は橘右近
師筆とキャニオンレコードの山田善実さんから聞いた覚
えがある。そうそう、キャニオンはレコードレーベル名
でカセットはPONYレーベル名で同じ音源でも分けて
発売していた。また、表紙の錦絵や中見出しまわりに使
われている絵も橘右近師所蔵のもを使用したと、制作の
方は説明していた。
このパンフにある会社住所は、JR浜松町駅前の貿易
センタービル24階と印刷されていることから、作られた
時期は昭和55(1980)以前と特定できる。その後、同
社JR市ケ谷駅近く一口坂に移転しているからだ。当時、
私はフジサンケイグループの駆出しの新聞記者をしてい
たので、同じグループのキャニオンレコード&PONY
には仕事でよく出向き、さまざまな資料を入手できた。
その分、新製品の紹介記事もよく書いて恩返しをした。
このパンフの錦絵(表紙)の印刷は実に見事である!
制作担当者にお聞きしたら「極彩色の錦絵は、色を重ね
合わせるのは簡単だが、淡く薄い色は出しにくいです。
これは最新のアイテック430という機種でフィルム製版し
たので微妙な色のカラー印刷ができました。さちに右近
師所蔵の錦絵(元原稿)は、このB5の5~6倍とサイ
ズは大きい。その大きな寄席文字を、レコードジ印刷物
は拡大するとボヤけるが、縮小するとキリリと締まる」
と説明していた。
こうした稀少パンフは、一般にはあまり出回らない上
に、私のように大切に保管する者は少なく、ために今や
東京・神田神保町の芸能グッズ専門店では、意外な高値
が着けられている。
【状態と発送に関して】
いまや40年以上も前の希少品だが、保存状態は良く
「美品」である。送料はネコポスかゆうパケットのどち
らかで230円です。