【深和】藤木直鷹 書蹟横物「源頼朝論」真筆 安永9(1780)年頃(書家 草稿 近世古文書 漢文 漢詩人 上賀茂神社 神職 勤皇家 京都) 收藏
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商品説明 |
江戸中期の公家・藤木直鷹の書蹟です。 「源頼朝論」と題し、頼朝を秦の始皇帝と重ね合わせ、労せずして家門の雪辱を果たしたものの、その虎狼の心ゆえに家臣や子弟に所領を分け与えず専制を志したため、北条氏に政権を奪われ、やがてその家が絶えたと筆誅を加える硬骨の歴史論です。 直鷹は青綺門院、のち後桜町院に院北面として仕えた賀茂社家であり、安永4(1775)年に出羽守に叙せられたことが分かります(『地下家譜』)。しかし程なく安永9(1780)年11月19日に隠居、翌年に死去と、わずか29歳で没したことのみが知られます。 安永9(1780)年11月は本来光格天皇の即位を控えていたものの、先帝後桃園天皇の忌月と重なり朝廷と所司代の間で議論が紛糾しており、また後桃園院の崩御を巡り、伏見宮による毒殺疑惑がまことしやかに囁かれ、後桜町院が直々に調査した時期にもあたります。 本作に見られるような筋金入りの尊皇家・激情の人であった直鷹が、後桜町院北面として宮中の諸問題に容喙することも想像に難くなく、あるいは直鷹の史論が朝儀復興へ熱意を燃やす光格天皇の目に留まり、公武関係の亀裂を生じることが危惧され、強制的に隠居させられた可能性を示唆しています。本作も隠居直前の時期に認められ、藤木家に秘せられたものとみられます。 天皇と近習による宝暦事件、および明和事件の記憶も生々しい中、「伏祈点竄」と師に添削を請いながらも受け容れられず、自ら推敲を重ねていることからも、生まれ持った不羈の精神、狷介さが生んだ悲劇を物語っているといえます。歴史の闇に消えた早すぎる尊王志士の筆鋒を、御手許で御楽しみください。 ◆藤木直鷹 江戸中期の公家・神職。青綺門院、のち後桜町院北面。息直の子。安永4(1776)年従五位下・出羽守。安永9(1780)年隠居。天明元(1781)年没、29歳。 〔本文〕 源頼朝論 「氏滅」 源大将軍頼朝、起自山東、討木曽。撃平氏、中間三四 ” ”” 年 歳終能成覇業矣、位到特進、官亜三公、領大将軍総 ” ” 方伯之権、未嘗帷牆、而節制天下、於是其威極矣、 「之大権、 帰 凶之」 而至身死之日、失天下重於姦臣之乎、社稷為之殄 ”” 滅、宗廟絶血食者、何哉、夫頼朝所謂蜂準長目摯鳥 膺豺声、少恩而虎狼心、居豹易出人下得志亦軽食 ””””””””””” 人者也、是以其亡也然矣、初諸源伏誅也、頼朝以鴻 ” 「於」 漸之翼、困於燕雀、幽身於北闕殆死偶得得救池尼、漸 ””””””” 僅 脱虎口、遠竄流伊豆、而竊得寝苫枕干、通好俊雄、以 ””” 「奮前世余烈潜蟄」 欲報仇雪恥、候伺之既二十餘年、会遇天回地転 ”””” 之時 而 起焉 範頼 勃然興網羅天下俊雄豪傑、因以使其弟廷尉義経 ”” ”” 「以 功 有(践) 而」 将之、坐観其成、未嘗踏血侵失名之労、恢復之功帰已、 ” 「是 意謂 者必有」 当其時、頼朝自以為結実碩茂、枝幹必有裂折之憂、故 ” ””” 「政 施」 子弟無尺寸之封、功臣無錐立之地、仁心不加恵沢不流、 ” ” 「軽視 威加海内、自請為総追捕使」 誅鋤左右股肱、遂劫天子、奪之魁柄又仮不返以為宗 ”” ””””””””””” 廟長策、譬之猶浮舟於江海棄損楫櫂観者為之非 ”””””””” 「百」 不寒心而晏然以之為深根堅葉之術欲伝之子孫千万世 ””””””””””””””” ” 豈不悖哉、夫与人共其楽者、人必憂其憂、与人同其安者、人 「遍」 必救其危、故先王知独治之不能久也、故与人共治之、知独守 ” 「賢俊」 不能固也、故与人共守之、兼親疏参異同、而並進足以相 ” 「弁彼惑」 鎮也、尚使頼朝用斯策、抑彼惑推尊天子、分封子弟、功臣 ””” ”” 「有 者 相輔、以」 枝葉相扶首尾為用、縦雖使後世有失道之行股肱無尹 ” ”” 「得其宗祀豈 縦 姦計 嗚呼」 周之賢何区々時政得措其手足哉、背道者亡、順道者栄、 ”””” ” ”” 曽子曰、出乎爾者、反乎爾者也、其頼朝之謂乎、 伏祈 点竄 雷山賀鷹選 〔訓読〕 源大将軍頼朝、山東より起ち、木曽氏を討ち、平氏を滅す、中間五六年にして終に能く覇業を成し、位は特進に到り、官は三公に亜(つ)ぐ、大将軍総方伯の権を領し、未だ嘗て帷牆あらず、而して天下を節制す、是に於て其威極まれり、而して身死の日に至りて、天下の大権を失し姦凶之臣の手に帰す、社稷之を殄滅せられ、宗廟血食者絶ゆ、何ぞや、夫れ頼朝、所謂蜂準長目、摯鳥膺、豺声、少恩にして虎狼の心の者なり、是れ以て其の亡なり、初め諸源伏誅す、頼朝鴻漸の翼をもって、燕雀を困す、偶(たまた)ま得救池尼の救ふを得、漸くして僅虎口を脱し、伊豆に遠竄す、寝苫枕干、俊雄と通好す、以て報仇雪恥を欲し、前世余烈を奮い潜蟄すること二十餘年、天回地転の時に会遇し、勃然として興起す、天下の俊雄豪傑を網羅し、其の弟範頼義経としてこれを将(たす)けしむ、坐して以て其の成功を観、未だ嘗て践血侵失名の労あらずして、恢復の功を帰すのみ、是の時に当たり、頼朝の意謂はく、「結実碩茂せば、枝幹裂折の憂必ず有るべし。」と、故に子弟に尺寸の封無く、功臣錐立の地無し、仁政恵沢を施さず、誅鋤左右股肱を流さず、、天子を軽視し、威を海内に加へ、自ら請ひて総追捕使たらんとし、以て宗廟の長策と為し、子孫百万世に之れを伝えんと欲す。豈に悖らざらんや、夫れ人と其楽を共にせん者、人必ず其憂を憂ふべし、人と其安を同じうせん者、人必ず其の危を救ふ、故に先王独だ之を治して遍く能わざるを知るなり、故に人と共に之を治せば、独だ守して固むる能わざるを知るなり、故に人とこれを守るを共にせば、親疏を兼ね異同を参し、賢俊並びて進足しもって相鎮まるなり、尚ほ頼朝をして彼の惑を弁ぜしめ斯の策用うれば、彼の惑を抑し天子を推尊し、子弟に分封し、枝葉相扶け首尾用ふるを為さん、縦ひ後世失道有ると雖ども股肱相輔け、以て其の宗祀を得豈に区々たり、時政其の姦計を縦にするを得るや、嗚呼、背道の者は亡び、順道の者は栄ふ、曽子曰はく、「爾(なん)じに出づる者は、爾(なんじ)に反る。」と、其れ頼朝の謂か! 寸法:縦106cm、横69cm(最大幅。若干の誤差はご了承下さい) 状態:経年のイタミがございます。 |
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o_YF594__2024/10/30 |
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