平成22年(2010)に、歴研から出版された『歴史研究』
特集「平城遷都千三百年」である。目次は下記のとおりであ
る。特集以外にも気になる記事が多数ある。
本書は、平城遷都1300年の佳節に、『歴史研究』が満
を持して企画・編集した意義深い特集である。中・高生が読
んでも、すこぶる役立つよい内容である。他の記事の中にも
おもしろい記事がいくつもある。
【平城京について】
元明天皇が710年に、藤原京から移り居を構えた都。桓
武天皇が、784年に長岡京に移るまで七代の王城の地であ
る。古代においては、政治的に旧態勢力からの脱却し、人心
を一新、宮城を移転して仕切り直した。
方位学の易占いが予見した、凶事や大災害を転換した縁起
をかつぎの遷都もあった。ために平城京も、一時、恭仁京・
難波京などへの遷都も行われた。平城京は、中央を南北に走
る朱雀大路によって左京・右京に分け,北部中央に宮城とし
ての平城宮があって、その南面の中に内裏や諸官庁があった。
左京・右京ともに、縦横に走る大路によって東西四坊・南
北九条に整然と区画された。左京には、今の奈良市街が外京
としてあった。右京には、半条の幅の張出しが北辺坊として
それぞれ付属した。北辺坊を除く東西は約1・5里(6キロ)
、南北は1里ちょっと(4・7キロ)の範囲があった。平安京
遷都のみきりには荒廃し、外京のみが東大寺・興福寺の門前
町として残った。
【目次 特集記事】
●「平城遷都の基礎知識」 松尾 光
●「『幻の七重塔』復元をめざして」 菅野運司郎
●「平城遷都から千三百年」 米山康彦
●「科学者の視点・平城京公害説」 小西元彦
●「平城京の遷都が一年四か月で完成した理由」 富田誠一
●「遷都がもたらす希望と光り」 吉南智華
●「祝・平城遷都千三百年」 横山忠弘
【特集以外の記事】
●「天照大神が卑弥呼女王である根拠の整理」 小原正哉
●「名古屋城大天守は、なぜそこに立つのか」 尾関 章
●「聖徳太子はなぜ消されたか」 望月古亶
●「青べか物語 行徳・浦安散歩」 高橋倭子
●「四十七都道府県 幕末維新掃苔録」 河内貞芳
●「機動戦士ガンダムと沖縄の現代史」 吉田 浩
●「日本一の兵、真田幸村公銅像除幕式」、 安居隆行、他。
本の状態は、二冊購入したうちの保管用のものなので、今も
申し分ない「新品同様」レベルだ。発送は、ネコポスかゆうパケ
ットで対応します。