平成27年(2015)に、歴研から出版された『歴史研究』
7・8号合併号で、定価は通常735円の約2倍の1400円
+税である。特集は「藩主が生んだ特産品」である。目次
は下記のとおりである。
【本書について】
江戸時代、飢饉や藩財政破綻を立て直した名君と言えば
やはり米沢藩九代藩主の上杉鷹山であろう。非常食にもな
るウコギを藩士の屋敷でも栽培。また、地元の青苧を使い
藩の婦女子に機織りの内職をさせた。 その後、桑栽培と養
蚕を奨励し絹織物を生産。最終的に「米沢織」として全国
へ出荷させたのは、あまりに有名である。本書の春嶽公と
絹織物は鷹山の知恵を借用している。
本書特集の巻頭言には、仙台藩名物の「ずんだ餅」は
、
伊達政宗の戦闘用非常食にルーツがあることや、金沢銘菓
「長生殿」も加賀藩三代藩主の前田利常のアイディアによ
るものだったことを披露している。他にも、病弱だった熊
本藩主・細川忠利と「辛子蓮根」の由来などが紹介されて
いる。
時は流れて、令和の新型コロナ下の今日、テレビ報道で
も需要が激減した生花製造業者、薔薇の花の色と香りを利
用した化粧品開発やマスク用の微香スプレーが大ヒットし
た話が取り上げられていた。江戸時代の藩主たちが、ピン
チをチャンスに逆転した事例は学ぶ所が多い。ただし、私
も元プロの記者&編集者として、ひと言提言させて頂くが、
目玉の特集記事が五本は少なすぎる。質もさることながら
記事の量も問われるのがプロの仕事と苦言を呈したい!
【特集記事】
●「干瓢につらなる」(北郷 聖)
●「水晶発掘発祥の地・昇仙峡」(樋口慶伍)
●「山国風土に育まれた紀州の梅干し」(唐川雅爾)
●「越前福井藩・松平慶永(春嶽)と絹織物」(伊東久彦)
●「岩国寿司と藩祖・吉川広家」(乾 浩)
【特集以外の記事】
●「忘れられた傑士(勤皇志士)・勝野豊作」(小高旭之)
●「桶廻間(桶狭間)合戦の正光寺砦・氷上砦は実在した」(榊原邦彦)
●「四百年後の大坂の陣を歩く」(高橋倭子)
●「大坂夏の陣の名将・真田幸村と十勇士」(横山高治)
●「贋作の『魏志倭人伝』を暴く」(五十嵐良一)、他。
本の状態は、一読後、大切に保管していた「美本」だが、
あまりに神経質な方は入札を御遠慮して下さい。送料は
落札者でゆうパケットかネコポス210円です。