今から40年以上前の商品パンフ2点である。これは、
ポリドールから発売された『NHK落語名人選カセット』
の全タイトル全60巻のものだ。
【商品裏ばなし】
実はこのシリーズが本格販売されたキッカケと六代目
三遊亭圓生の死であった。と同時に、若者の間で一世風
靡したソニーのウォークマンの大ヒットであった。圓生
とそれともう一人柳橋の二人の死により、はからずも昭
和の名人上手、文楽、志ん生、金馬、三木助、可楽、円
歌、金語楼、今輔、小文治らは、ほとんど鬼籍の人とな
った。残るは正蔵、小さん、馬生ら数人。それに売り出
しの談志や円楽をラインナップに入れて、このカセット
シリーズは発売された。志ん朝が入っていないのは、す
でに彼はCBSソニーからレコードとカセットの話が進
んでいたからだ。
ともにカラー印刷のこのパンフ、当時はまだまだ白黒
や二色印刷も多かった時代である。御覧のように、私た
ち若手落語狂は、表紙の絵から「文楽パンフ」「志ん生
パンフ」と呼んでいた。文楽パンフには落語30巻と浪
曲30巻が所収され、空いたスペースに三遊派、柳派、
桂派の系図が掲載されている。あまりに字が小さいの
で拡大コピーをしないと読めなかった。「志ん生パン
フ」には、全落語カセット80巻と初めてCD化され
た新商品5枚が入っている。
レコードから、カセットテープ、さらにCDと時代
大きく動いていた。映像はビデオで、DVDは出現し
ていなかった御時世であった。本品の寄席文字の作者
名は記載していないが、私が新聞記者となった折りに
NHKサービスセンターの方に聞いた所「最初のレコ
ード以来,橘右近師と聞いている」と説明していた。
たかがパンフと思われる方もいるかもしれないが、見
方を変えれば貴重な寄席文字資料でもあり、また入手
困難な昭和末期の落語史資料ではなかろうか・・・。
【本の状態は発送に関して】
二つの商品パンフとも、美品に近い良い状態だが、
40年近くも前のものなので、微小な遜色は何卒御容
赦頂きたい。送料は落札者負担です!