ヴァ(=ウラジミール)にとって“White Nights”は既に過去のものとなった。風は冷たいが陽射しは暖かい、
そんな小春日のようなアルバム。
MOVIN’VOVA。VOVAってなんだ?実はRICHARDをDICK、ROBERTをBOBと言うが如しで、VLADIMIRの愛称
であるそうな。そう、これはピアノ・トリオ・ファンが待ちに待ったウラジミール・シャフラノフの新作なのだ。
あなたがある作家のシリーズものの一作を読んで気に入ったとする。当然ほかの作品も読みたくなる。LIVE AT
GROOVYで狂喜したりWHITE NIGHTSで感動したピアノ・マニアも事情は同じであったろう。よく分かる。しかし
、どうにもならない。シャフラノフのリーダー盤は先だって澤野工房がリリースしたこの2作だけだったのだから。
そこへ、ようやく、と言うか遂に、と言うべきか本作が登場したわけだ。と、言ってもシャフラノフのこと、
殊更気張って「新たなる挑戦」なんてことはしない。共演者も気心の知れた仲間たちで固めた演奏は緊張感とく
つろぎのバランスも絶妙な味わい深いもの。ソロ・ピアノは親密な語りかけのようだし、まさに名曲名演の
ニューフェイスとも呼びたいTr.2は彼の充実ぶりを示してあまりある。
もちろん、透明感のある音色、弾むようなスイング感は健在。風は冷たいが陽射しは暖かい、そんな小春日
のようなアルバムだ。待った甲斐は十分にあった。もしかしたらこれは幻のピアニストがジャズ・ジャイアント
への道を歩き出す第一歩なのかもしれない。だってシャフラノフはMOVING……今を生きているのだから。
1. Namely You
2. You And The Night And The Music
3. For Heavens Sake
4. Groove Yard
5. Get Away (Geta Way)
6. Beautiful Friendship
7. But Beautiful
8. Dexterity