1948年 愛媛県に生まれる、東京藝術大学大学院修了、1980年 代初めから、和紙にアクリル絵具という独特な画法を確立し、日本画と洋画との境界を越えた革新的な表現方法に到達、日本の伝統美である衣装文様や花鳥風月を用いた「もののあはれ」を基調としたその作風は、独特の技法とあいまって智内独自の幻想世界を創り上げている、2002年 、2004年 、2019年 には、ギャルリーためながフランスにおいて個展を開催し、ヨーロッパ屈指の大コレクターであるロスチャイルド家に多くの作品を蒐集されるなど、世界の多くのコレクターを魅了しているほか、安井賞をはじめ、数々の賞を受賞し、現代画壇を代表する画家として揺るぎない地位を築きあげている、ここ数年 は、花や山々という日本人の原風景に迫る自然界の描写に新境地を見出しており、日本内外で高い評価を得ている

智内兄助「背紋」ミクスドメディア 30号 大作 展覧会出品作
この作品「背紋 雛」は、智内兄助の幻想的で温かみのある世界観を象徴しています。背中に描かれた愛らしい少女の表情が、作品全体に優しさと安らぎをもたらしています。少女は穏やかで無垢な表情を浮かべており、目を閉じている姿は夢見心地であり、静かな美しさを感じさせます。この少女の存在が、人物の内面や心に秘められた大切な想いを表現しているようで、観る者に深い共感を呼び起こします。

智内兄助は、和紙にアクリル絵具を用いた独自の技法を確立し、日本画と洋画の境界を越えた革新的な表現を追求しています。この作品においても、伝統的な和の美意識を感じさせる赤やオレンジの色彩、そして繊細な文様が描かれ、観る者を幻想的な異世界へと誘います。「背紋」というタイトルが示すように、背中の模様は単なる装飾ではなく、この人物が持つ精神性や象徴性を深く表しています。

少女の愛らしい表情と、背中全体に広がる美しい模様の調和が、この作品に儚くも優美な魅力を与えています。智内兄助の「もののあはれ」を基調とした作風と、幻想的なイメージが見事に融合した一作であり、観る者に静かな感動を届けるでしょう。