01エロティカ
架空の女性ディータが愛人として官能の世界へと導くさまを、エキゾチックなグルーヴで表現したアルバム・タイトル曲。フレンチ・ポップス風の気だるさと妖しげな異国情緒漂うエスニックな佇まいを持つ、扇情的でミステリアスなナンバー。
02フィーヴァー
ペギー・リーで知られる、リトル・ウィリー・ジョンが1955年に放ったヒット曲のカヴァー。燃え上がる恋心を、あえて熱を抑えたクールなダンサブル・ビートで表現し、蜃気楼の向こうにそびえる桃源郷の芳香を感じさせている。
03バイ・バイ・ベイビー
スクラッチやシンセのポジティヴなビートが軽快に展開するダンサブルR&Bだが、詞の内容は辛辣。“泣くのはあなたの番”と啖呵を切り、“あなたがしくじったのよ”と言い切るラストは、ショーン・ペンとの訣別を思わざるを得ない。
04ディーパー・アンド・ディーパー
幼少時に母親を失った彼女の、ファーザー・コンプレックスを歌った曲のうちの1つ。心を掻きむしられてきた感情の渦を思わせる、中~終盤でのスパニッシュ風ギターの旋律が何とも切ない。ラストには「ヴォーグ」の一節も。
05ホエア・ライフ・ビギンズ
性に対する抑えられない衝動を、比喩的ではあるが、明け透けに歌う詞が強烈な印象を与える曲。軸となるシンセ・ビートとバックに流れるAOR風フレーズに、ねっとりと絡むポエトリー・リーディング調のヴァースが何とも官能的。
06バッド・ガール
少女時代に不良をしながら、自身に関心を持たない父親への悔恨の念を歌い綴ったミディアム・スロー・バラード。父親との心の乖離に嘆く、彼女の切なる思いを絞り出すようなヴォーカルに、思わず手を差し伸べたくなるような美メロ哀歌。
07ウェイティング
呟くようなヴァースからひたすら祈るように繰り返される“ウェイティング”のフレーズ。恋人を待ち続ける女性の心痛さを、ファンキーなドラムやベース、ジャジィなピアノの旋律へのせて、直情的に描写したミディアム・チューン。
08シーフ・オブ・ハーツ
始まってやおら“アバズレ女!”、ラストは“ケツを下ろせ!”。親友の素振りをして彼を奪う女を蔑む衝撃的な詞が綴られるが、サウンド・イメージは一変。シェップ・ペティボーンによりアーバンなダンス・フロア調に仕上げられている。
09ワーズ
言葉によって振り回されることを恐れた息苦しい心境を、とうとうと語り綴る。暗雲が立ち込める寸前のような雰囲気を保ちながら、民族的な音色のループが耳を支配するダンス・ナンバー。ラストのタイプライター音が印象的に響く。
10レイン
愛が宿り、そして失った。大切な人を待ち続ける辛さを、雨や嵐、太陽などで比喩的に表現したラブ・ソング。ナチュラルさは詞だけではなく、柔らかな16ビートや両手を広げて慈愛をみせるようなヴォーカルにも感じられる。
11ホワイズ・イット・ソー・ハード
愛し合うことの難しさ、やるせない気持ちを歌う。どうすれば愛を分かち合えるのかをリフレインする詞には、その厳しさが滲み出ているよう。レゲエのリズムも散見するファンキーなサウンドで描かれたミディアム・チューン。
12イン・ディス・ライフ
若くしてエイズでこの世を去った、最愛の友人であり恩人である男性について語ったパーソナル・ソング。晴れそうもない靄がかったオーケストラ・タッチの旋律がいっそう重厚なムードを醸し出し、マドンナの内面の叫びが聴こえそうだ。
13ディド・ユー・ドゥ・イット?
マーク・グッドマンとデイヴ・マーフィーの2MCをフィーチャーした、ヒップホップ・トラック。「ジャスティファイ・マイ・ラヴ」の制作に参加したアンドレ・ベッツが手掛けた曲で、マドンナはコーラス部分のみに登場するミステリアスなナンバー。
14シークレット・ガーデン
アンドレ・ベッツによる、生ピアノとベースを巧みに組み込んだジャズ・テイスト・ナンバー。すべてが終わっても破れてない花びらを探す、とメタファーを用いた官能的でパーソナルな詞が、ショーン・ペンとの別離を想起させる。