サステナブルのレストアとは、以降も継続してアンプを聴き続けられるように修理メンテナンスしたということです。
このアンプのオリジナルの出力管は6RA8(NEC製)です。 ところが6RA8も製造開始されてすでに50年以上が経っています。
6RA8は今では新規で製造されていません。現在流通しているこの球は過去に製造されたもので殆どが中古品です。
言えば6RA8がこの世から消えてしまえば、A1020も役目を終えてしまうことになります。
ずっと継続してA1020を聴けるように、出力管をポピュラーで入手が容易な6BQ5に変更しました。この球は今でも生産されていますし、世界中で使用されています。これで出力管の心配がなくなりました。
出力段はセルフバイアス回路としました。通常のユーザーのかたが、バイアス電流の調整のために、ウッドケースからアンプを取り出し、さらにはひっくり返して、テスターをみながらバイアス電流を調整するのはやや困難だと思います。
かくして一般ユーザー使用のこのアンプは、バイアス電流が不揃いのまま使用される可能性もあります。アンプの性能上、品質上にもあまりよろしくはありません。
バイアス電流調整フリーのセルフバイアス回路は便利です。このアンプは6BQ5のカソード電圧を測れば電流監視は楽です。電流監視も苦手なら特性のそろった6BQ5 を挿すだけで使用はOKとなります。
今回の変更内容をまとめますと
1.出力管を6BQ5の自己バイアス、UL接続に変更、電源回路もそれに伴い変更。
2.6BQ5のカソードの直流電圧を確認し10V~11Vであれば正常動作です。
3.基板上のコンデンサの一部を近代の物に変更。
3.モードSWは不良になっていたため変更しました。機能はステレオ、モノラル、リヴァースの3種となります。mono-L、mono-Rは機能しません。
4.出力はオリジナルの10W+10Wから、15W+15Wに増加。残留ノイズは0.7mVと0.3mVです。
OY14と松下製の6BQ5のコンビは、快活できれいな音で鳴ります。オリジナルよりこちらの方を好まれる方も多いと思います。これで未来永劫A1020を使うことが可能になりました。
前面パネルとツマミ類はきれいに清掃しました。ガリはありません。ウッドケースの何か所かにキズがあります。背面パネルには汚れや細かな錆も見受けられます。50年選手なのでご容赦ください。
ご質問があればお願いいたします。この後はSQ38FDのサステナブル・レストアも実施予定です。