●DVD ネイチャーシリーズ
野生王国
トキよ舞いあがれ
ー巣立ちの記録—DVD
トキか棲む中国陝西省
初めてここで、トキの巣づくり 産卵巣立ちが
克明に記録された。
その貴重な映像は失われたものの
尊さを私たちに静かに語りかける。
語り/ 見城美枝子
●解説●
やさしい陽光をうけてトキが画面いっぱいに舞う・・・・・・。
トキはかつて日本、朝鮮、中国シベリアにかけて広い範囲にすんでいました。しかし、20世紀に入り急速にその姿を消し、佐渡ヶ島のものが世界中で最後に残ったトキだと考えられるようになりました。この佐渡の群れも5羽まで減少しついに1981年、保護と人工保育のため捕獲され、野生の群れは日本の空から消えてしまいました。
ところが、同じ1981年、すでに絶滅したと考えられていた中国でなんと野生の群れが大調査の末、再発見されたのです。中国西省の森に、地球上で最後の野生のトキ、30数羽が今もなお生きつづけています。
この森で、トキは春先から夏にかけて巣をつくり、卵を生み、子育てをして過ごします。
映画はその様子を克明に迫っていきます。
オスが小枝や枯れ葉を運び、受けとったメスが巣づくりを行い、産卵に入ります。3月の終わり、待望の卵が産まれました。その数4つ。季節はずれの大雪にも耐え、トキは卵をあたためつづけ、遂に28日目の夜、最初のヒナが誕生しました。翌朝にもう1羽、しかし、あと2つの卵はいくら待ってもついにかえりませんでした。誕生した2羽のヒナは無事育ってくれるでしょうか。
親鳥たちは懸命に子育てにはげみます。近くの湿地にすむドジョウ、カエル、ザリガニをついばみ一度飲みこみ、それをもどしてヒナに与えます。かつて日本でもトキたちは小動物のいる田んぼや湿地をエサ場にし、私たちの身近なところにすんでいました。しかし近代化のなかで、すんでいた森の木が切られ、エサ場に農薬が大量にまかれ、絶滅へとおいこまれてしまったのではないでしょうか。
森は初夏、2羽のヒナたちは元気に育っています。50日を過ぎた頃、ヒナは巣を離れ、枝の上で羽ばたきの練習をはじめました。巣立ちは間近です。60日目、ついに親鳥にさそわれるようにヒナたちが飛びたちました。精一杯の力をふりしぼって大空にはばたいていきます。しかし、2羽のヒナたち、自分たちの仲間がこの地球上にたった40羽しかいないことを知っているのでしょうか。
1990年春、佐渡に保護されていたオスのトキ 「ミドリ」が繁殖の期待をになって中国へと旅立っていきました・・・
◎トキ(学名:Nipponia nippon/英名:Japanese Crestead Ibis)
文部省選定
第15回動物愛護映画コンクール環境庁長官賞
1990年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第6位
①プロローグ
②日本のトキの歴史
③幻のトキ発見
④子育てⅠ(抱卵)
⑤子育て Ⅱ (育雛)
⑥ 巣立ち
⑦エピローグ
●スタッフ
企画/小口禎三 野瀬秀男
構成・編集/一野雅義
撮影/北京科学教育電影制片所
加藤孝 森田守
動画/潤アニメーション
録音・選曲/佐久間俊夫
ネガ編集/川岸喜美枝
現像/ソニーPCL
製作/陣内直行
アズマックス作品/1990/STEREO/COLOR/複製不能/片面1層/時間:23分/MPEG-2/DNN-714
(DISC No.GN-004)