御存知!名手Colin Townes/John McCoy他参加 Ian Gillan HR/HM回帰の隠れ名盤 Gillan幻の1st「Gillan:通称The Japanese Album」
前者は未開封品ではございますが、包装ビニールの剥がれ等がございます。後者は盤共に非常に状態の良い中古でございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは双方共に興味深い名手揃い。
”Gillan:The Japanese Album”:
Ian Gillan(Vo ex-Deep Purple、Ian Gillan Band、後にBlack Sabbath)、Colin Towns(Key、Flute ex-Ian Gillan Band、後にHR Big Band)、
John McCoy(B、ex-Zzbra、後にMammoth、故Bernie TormeとのGMT他)、
Steve Byrd(G、ex-Zzebra(かの名手故Tommy Eyre在籍のアフロ系ジャズ/ロック・バンド))、Liam Genockey(Ds、ex-Zzbra)となります。
プロデュースは、Paul Watkins/Ian Gillan/Colin Towns。
1978年7~8月英国ロンドン・”Kingsway Recorders”(当時Ian Gillan所有)での制作となります。
”Mr.Universe”:
Ian Gillan(Vo/Harmonica)、Colin Towns(Key/Flute)、故Bernie Torme(G、後にElectric Gypsies、Torme、GMT、Desperado等)、
John McCoy(B)、Mick Underwood(Ds/Per ex-Quatermass、Peace、後にQuatermassⅡ他)となります。
プロデュースはPaul Watkins/Ian Gillan/Colin Towns/John McCoy。
1979年6~7月英国ロンドン”Kingsway Recorders”での制作となります。
1974年に古典派British HR/HM及びProgressive Rock等アート/ロック系の頂点が訪れ、大作主義を中心とした大傑作が揃う事となります。
その裏で音楽性が嘗ての姿からかけ離れた事を感じ、異を唱える聴衆が現れる事となります。
(かのRobert Plant曰く「バンドがどんどん大きくなっていく。そしてファンが「ヘイ、付いていけないぜ!」と。それの繰り返しだ......」)
その中で六十年代中期のビート系ポップスやグラム/ロック系、
米国の”New York Dolls”や社会派”Ramones”の音楽性を基にした音楽性の奇妙なロックバンドがアンダーグラウンドに登場。
徐々に人気を博していく事となります。
”Punk/New Wave”の登場でございます。
1974年を境に古典派HR/HMやProgressive Rock等の名バンドが活動停止や作品のインターヴァルが長くなる中で、
行き詰まった英国社会や大衆の閉塞感を基に不満をぶちまける歌詞やシンプルで合理的なその音楽性が共感を呼び、
規模が大きくなり過ぎそして現実とかけ離れた音楽性と見做した古典派HR/HM系やProgressive Rock等々に対して拒絶を示す事となります。
かの”EMI”が興味を示し契約したものの歌詞の過激さで解除したかの”Sex Pistols”を
「火中の栗を拾いに来る」事で知られた新興レーベル”Virgin”(と言うかかのリチャード・ブランソン)が獲得。
そして驚愕の大成功を収める事となります。
また英国音楽メディアも古典派アート系ロックに対して”Old Wave”とレッテルを貼り、
新たな音楽ムーヴメント”Punk/New Wave”を擁護し盛り立てていく事となります。
その中、成功を収めていたバンドは米国進出を狙い本拠地を米国へ移行。
急激に古典派ロック系は衰退していく事となります..................................
されど、天才名手全盛期Michael Schenker擁する”U.F.O.”や八十年代以降のHMの音楽的基礎となったかの”Judas Priest”等、
オーストラリアからもかの”AC/DC”が英国に登場。
米国にも進出し徐々に成功を収めていく事となり、また英国でのライヴも盛況。
またHR/HM系不定期開催Disco Clubがシーンに反して盛況を博して参ります。
その中で「無ければ自分達で作る」という英国気質の中から、パンクを参考にしながら新たなHR/HM系新バンドがアンダーグラウンドに登場。
そして”Punk/New Wave”の自主制作活動に注目。
そのやり方を踏襲。またファンジンやHR/HM系Disco Clubと連携し活動を広げていく事となります..........
その流れの中で、Deep Purple解雇後実業家の道を歩み紆余曲折の末に音楽シーンに戻ってきたIan Gillan。
ブリティッシュ・クロスオーヴァー系の音楽性にハード・ロック色を加えた”Ian Gillan Band”を結成。
傑作二作とライヴ盤を制作するものの芳しい活動ではなく、Colin Townsを残しバンドは解体。
HR/HM回帰を図り、新たに”Gillan”を結成する事となります。
契約獲得を模索するものの英国音楽シーンにその興味は無く、再び忸怩たる思いに苛まれる事となりますが、
日本の東芝EMI”East Wind”が関心を寄せる事となります。
そして契約を得て、再デビュー作たる新作制作に乗り出す.............................という経緯がございます...............................
さて、今作。
かの名バンド”Gillan”音楽性の原点でございます。
演奏・アンサンブルはキャリア組という事があり、非常に丁寧で巧みそして纏まったもの。
音楽性もコンパクトさと勢いが感じられるもので、楽曲の質も非常に高いもの。
王立音楽院出身で新世代の感覚とジャズ/アート系の鋭さを持つ名手Colin TownesによるPunk/New Wave系音楽性の分析が
加わっている事が感じられるもので、非常に練られた感がございます。
また、嘗てのIan Gillan Band同様Steve ByrdやLiam Genockey等英国クロスオーヴァー系ミュージシャンの参加が目立つラインナップではございますが、
John McCoyの存在がミソ。
キャリア組ラインナップという事があり応用系に流れ易い音楽性を(HR/HM回帰と言う音楽コンセプトがあり)
攻撃的な演奏・フレーズで食い止めている感がございます。
また後に加入する名手Bernie Torme/Ian Underwoodの攻撃性にも繋がるもので、”Gillan”音楽性の軸という感がございます。
この”Gillan”というバンド。
ここから全盛期に掛けて”Gillan/Townes”という作曲コンビが創作の中心となりますが、
攻撃的音楽個性強いミュージシャンの存在で成り立つ音楽性という感がございます..............................
正直、何故契約が獲得出来なかったのか?という出来でございます。
但し、その丁寧さとキャリア組ならではのソツの無さが時代に合わなかった事や
英国音楽シーンの異様な興味の欠如が深く関係していた感がございます.....................
ボーナス楽曲は後に”Gillan”の大傑作”Mr.Universe”に収録される原曲を含むものでございます。
既に完成しているものではございますが、構成ミュージシャンの音楽個性に魅力が左右される感がございます...............................
今作をリリースするものの母国英国音楽シーンは無関心。Ian Gillanは忸怩たる思いを噛み締める事となります.........................
されど、ここでかの「火中の栗を拾いに来るレーベル」”Virgin”(と言うかリチャード・ブランソン)が登場。
前述の状況や今作の英国への逆輸入盤予約/セールスが好調であった事を鑑み、
「聴衆はHR/HMが聴きたかろう」と”Gillan”にアプローチする事となります。
(誰も見向きもしなかったかのMike Oldfieldの為に”Virgin”を設立し通販から開始。その大成功後は皆が恐れを為した”Sex Pistols”と契約。
後には業界の大物に干された”名手Gary Moore”、そして英国含めた宗教文化的に相当な難があった”Culture Club”等々................
「火中の栗を拾いに来る」珍しいレーベル【........というかリチャード・ブランソン】でございます............設立以前には、かの”Backdoor”の制作資金援助も?)
但し、契約に当たり「Punk/New Waveにもアピール出来る音楽性を!」という条件を出した感が有り、Ian Gillanは再びバンドを解体。
Punkシーンで評価が高かったJimi Hendrixルーツの名手故Bernie Torme、
荒々しいリズムを叩き出す名手Ian Underwood(ex-Quatermass、Peace)をスカウト。
(この”Bernie Torme Band”というトリオ。
他には後にMike OldfieldやかのGTRに参加するPhil Spalding、
後にSaxonや幻の第二期GTR参加のNigel Grockerが在籍という驚きのラインナップでございます............)
日本のみ発売”Gillan”(通称”The Japanese Album”)の楽曲を再アレンジ、新曲(”Gillan”本編未収録楽曲)を追加。
新ラインナップにて再度制作に乗り出す事となります.......................................
さて、”Mr.Universe”。
役者が揃ったという感。
以前は中心人物であるIan Gillanのヴォーカル/音楽個性に対して他が大人しいという感がございましたが、
一匹狼的な演奏/音楽個性を持った故Bernie Torme加入によりアカデミック系個性派Colin Townsの個性が色濃く個性を打ち出し易くなった、
対の個性としても活かし易くなり、という感。
(Ian Gillanが音楽的に深く関わる故Jon Lord/Colin Towns/Don Airey、皆王立音楽院出身が非常に興味深いものでございますが.....................
現代音楽系の鋭さを強く持つのがこのColin Towns。全盛期故Keith Emersonに繋がるものがございます....................)
またMick Underwoodの演奏個性がJohn McCoyとみ合い、リズム隊としての強い個性を確立。
良い意味で荒々しさと躍動感を産み出しており、上記の対個性と共にIan Gillanに相当な音楽的刺激を与えているもの。
また”NWOBHM”のみならず八十年代という新しい時代を見越してポピュラー感やコンパクト感を加えている事もミソ。
Ian Gillanそもそもが持つポピュラー感を伴う音楽性の広さを”Ian Gillan Band”経由で継承している事が非常に興味深いもの。
音造りが”Punk/New Wave~NWOBHM”という過剰な音響を嫌う時代性を意識しており、そこが現在賛否を呼ぶ感がございますが........
音楽性共々かの”Virgin【と言うかリチャード・ブランソン】”の狙った「”Punk/New Wave”にもアピール出来る音楽性を!」
という意向を汲んだライヴ感というもの。
ここにHR/HM回帰”Gillan”音楽個性が確立した感がございます。
ボーナス楽曲はかの”Smoke on the Water”でございますが............................
スタジオ・ライヴ録音の感がございますが、全盛期”Gillan”音楽個性強く加味、が興味深いものでございます..................................
リリース後はツアーに勤しむ事となります..............................................
新作”Mr.Universe”は英国で結構な成功を収め、ツアーも大好評。
手応えを得また自信を得たバンドはツアー後大傑作として名高い次作”Glory Road”の制作へと、意欲的に取り組む事となります..........
正直「ロートル」扱いであったIan Gillanをかの”Virgin【と言うかリチャード・ブランソン】”が契約した事で衝撃が走り音楽シーンが色めき立ち、
「商売になる!」と踏んだプロモーター含めたビジネス側がHR/HMに注目。
自主制作で活動を広げていたバンドにアプローチしていく事となります.......................................
そしてそもそもHR/HMに好意的であった一部の音楽メディアは「Old Wave」と嘗て蔑まれた事を逆手に取り、
「New Wave of British Heavy Metal」と盛り上がりつつあったこの音楽ムーヴメントを命名。
1979年”New Wave of British Heavy Metal”を象徴する代表的名バンド”Iron Maiden”が自主制作EPで登場、
新時代到来とシーンに衝撃が走ります。
これを象徴として時代はNWOBHMに本格的に突入していく事となります.............................
この機会に是非。