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無芸大食大睡眠　色川武大　阿佐田哲也
解説　伊集院静

著者の交友範囲の広さには、ただただ敬服するほかない。作家はもとより編集者、映画俳優、舞台俳優、作曲家、作詞家、歌手、漫画家、スポーツ選手、酒場のママ等々。酒、賭け事、映画、芝居、病気等々、ありとあらゆるものを通じて彼等との交際エピソードや、時代の流れを愉快に綴る、風俗エッセイ。

目次
ドリーおばさん
支那の夜
競輪の夢
由利徹のこと
帝都座ショーのこと
ＳＭ映画について
開花しなかった芸人
アメリカ映画に餓えた頃
テレビに出ない力士たち
枝雀の明日
若い才能たち
日銀出身の料理人
なつかしの新宿
銀座のドブロク
苦あれば楽、楽あれば苦
がんばれ高倉登〔ほか〕

レビューより
全61篇、ほぼ一年強ということか。だから、この本を順に読むと阿佐田 哲也(色川 武大)の一年間の行動、思考をたどるようでとても興味深い。山あり谷あり、無趣味(本人はそう思っている)を反省してビデオ・テープの収集を始めて、しまいにはキャロル・スローン(ジャズ ヴォーカリスト)が自宅にやってきて言葉もロクに通じないのに映画を見て笑い転げて帰って行ったり、内田 裕也に酒場でカラまれたり・・・とにかくその交友範囲はハンパではない。その他、突然、若い娘から井上 陽水の電話番号を教えろと何度も何度もしつこく電話がかかってきたりの世相を嘆いたり。
見方を変えれば、結果的に第一級の昭和史の資料にもなっている。