愛らしい旋律が優しく心に語りかけるような名曲「ヴァネッサ」がとにかく素晴らしい。イタリアのジャズ・ピアニスト、ジョヴァンニ・チェカレリのトリオ編成での初のリーダー作『メテオール』は、優雅で美しく、情感豊かな名作です。 ""切なく繰り返すピアノのフレーズ、奥ゆかしいチェロの響きも美しい冒頭の「01. The Ever-Changing Sky」から素晴らしいです。イタリア、アンコーナ出身のジャズピアニスト、ジョヴァンニ・チェカレリが自身の“ピアノトリオ”名義で吹き込んだ作品『メテオール』。ピアニストとしては既にベテランの粋にも達しつつある彼ですが、トリオ名義の作品はこれが初めてとのこと。サイドマンとしても活躍しており、御大Lee Konitzとの共演作、ブラジルのSSWダヂ(ジョルジ・ベン・バンドのベース奏者としても有名)や、本作でもバックを支えるフェルッチオ・スピネッティ(ダブルベース)、フランチェスコ・ペトレーニ(ドラム)らと結成したブラジリアン・グループ、インヴェンタリオ(InventaRio)など、精力的な活動を行って来た彼が、信頼のおける面子と共に、2010年末に吹き込んだ力作が本作です。 自らのペンによるメロディアスな楽曲を中心に、自身のピアノを中心とするトリオの演奏で、穏やかに、優雅に、時には情熱的に聴かせる1枚ですが、その作曲能力の高さ、ピアノのタッチの滑らかさは特筆モノです。出だしのフレーズだけでも心を持って行かれてしまうようなタイトル曲「03. Meteores」、優しく語りかけるようなピアノの美しさが心に響く「06. New Day In Kibuye」、エレピとファンキーなリズムワークで聴かせる「08. Facasi」、ラストをクールに飾るポエトリーリーディング入りの「10. Ti Odio」などに加え、ブラジルのSSWジャヴァンの名曲「02. Oceano」、小粋にカヴァーされるボサノヴァの古典「07. Chega De Saudade」などの、ブラジリアンの選曲、アレンジもセンス抜群で、アルバムをより豊かなモノに仕上げています。何より注目したいのは、愛妻に捧げたと言う愛らしいメロディの名曲「05. Vanessa」でしょう。派手さは無いですが、とにかく印象的なメロディの素晴らしさが、いつまでも心に残り続ける大名曲です。