ロマンのカリスマ・アーティスト、セルソ・フォンセカ。その最新作は、2009年8月にリオ・デ・ジャネイロで開催されたライブ・ステージを収録。 敬愛するジョアン・ジルベルトやジャヴァンのアルバム・タイトルにも引用された、「VOZ E VIOLAO」(声とギター)と題されたステージは、文字通り全編弾き語りによる完全アコースティック・ライブ。妥協を許さないパフォーマンスであると共に、ミュージシャン・セルソ・フォンセカの魅力を最もシンプルな形で表現されたサウンドであることは、言うまでもない。ジルベルト・ジル、エラスモ・カルロス、ヒタ・リー、イヴェッチ・サンガーロ、ベト・ゲヂス、ビートルズ、トム・ジョビンと、レパートリーを名曲カバー中心にまとめた意図は、シンガーとしてのセルソが、リラックスして好きな歌を歌って至福の時間をオーディエンスと共に分かち合いたい・・・そんな願いが込められているかの如し。その素晴らしさも然ることながら、オリジナル名曲「スロー・モーション・ボ・ノヴァ」で締めくくるラストは、やはり感動的。すべてのボサ・ノヴァ/MPBファン、そしてナチュラル・サウンド・リスナーに捧ぐ逸品。