
まず初めに、説明文はかなり長くなります。それだけ語りたいことが多い一本だからです。
ご興味のある方だけ読み進めていただければ結構です。よろしくお願いいたします。
【メーカーHPより】
エンペラーの贅沢さを損なわずに作られたモデルで、エンペラーの弟分的存在です。
きらびやかなメキシコ貝インレイはもちろん、厳選された最高級のインディアンローズウッドに、#600サンドペーパーで磨き上げたノンスキャロップドブレイシング。そのボディからのサウンドは、エンペラーにも引けをとらない逸品です。
※年間限定生産品 定価370,000円(税込407,000円)
【スペック】
表面板ジャーマンスプルース単板(メキシコ貝ロゼット/メキシコ貝メイプルパーフリング)
横・裏板インディアンローズウッド単板
スケール645.2mm
指板エボニー(スノーフレイクインレイ)
指板幅43mm(ナット)
ネックマホガニー(ナット裏ダイヤモンドヴォルート)
駒エボニー(スノーフレイクインレイ)
塗装オールラッカー仕上げ
ジョイント14フレット
糸巻きゴトー SE700-06GG
ブリッジピンホワイトパールブリッジピン
【各部状態】
弦高(Rチューニング)12F 1弦2.25mm 6弦2.5mm
ネック ほぼストレート ネック元起き・ねじれ無し
トラスロッド 新品時から未調整
ブリッジ浮き 無し
トップ落ち/浮き いずれも無し
打痕 ブリッジ右下(米粒大)・サウンドホール左(線状)に有り(表面のみで木部には影響なし)
目を凝らしてわかる程度の小傷は有り
シリアルナンバー:44××× 2021年製
【出品理由等】
学生の頃からアストリアスのサウンドが大好きで、これまでにカントリーjr、Dカレント、Dカスタム、TRAD D、Dエンブレム(本器)、ECエンペラーと所有してきました。
いずれもそれぞれに特徴のある、素晴らしいギターでしたが、少し早目の終活を兼ねてここ数年で機材整理を行なってきました。
アストリアスで最後に残ったのが本器とECエンペラーなのですが、どちらか一本を一生の伴侶にし、またそのリペアやメンテナンス費用捻出のために、今回泣く泣く本器を出品するに至りました。
本当はどちらも手元に置いておきたいのですが、歳を重ねてドレッドノートを演奏するのがポジション的に少し辛くなってきたことと、あまりにも良く鳴り過ぎるが故にボーカルを圧迫(悲しいかな歳のせいか声量が落ちていることも相まって)するイメージになりつつあったので、ECエンペラーを生涯の友とすることに相成りました。
全モデルとは言いませんがある程度アストリアスのアコギを弾き込んできた経験から言わせていただくと、ジャーマントップ採用のエンブレムから上のクラスのサウンドはハッキリ言って「別物」です。
マーティンD-28に相当するモデルが、アストリアスで言えばDカスタム/TRAD Dの位置付けになるかとは思いますが、「やはりこれはD-28のオマージュ品だな」と納得せざるを得ないサウンド傾向だと感じます。
もちろんそれでも他のK社やH社などの国内メーカー同等品と比べれば、アストリアスのサウンド・材グレード・仕上がりの精度は群を抜いているかと思いますが、やはり世界のスタンダードとされているモデルにはあと半歩及ばないのかな、と言った印象です。
本器はマーティンで言えばD-42に相当するモデルになりますが、正直言ってこちらは本家と同等か、それ以上の素晴らしいギターに仕上がっていると言っても過言ではないかと思います。
事実、先日某有名店で現行のD-42を試奏したのですが、本器を弾き慣れているせいか、「あれ?こんなもんなの?」と思ってしまう一幕がありました。同伴していた家内も「音量は確かに凄いけど音のバランス・響きの心地よさはアストリアスの勝ち」と言っていました。
現行のD-42の定価は1,122,000円と、おいそれと手を出せる価格では無くなっていますが、それを更にジャーマントップやメイプルバインディングにカスタムしようものなら更に価格は跳ね上がってしまいます。
年間限定生産で極上の材を使ってここまで価格を抑えられるのは、やはり国内メーカーならではの強みだと感じます。
トップ材はしっかり目が詰まっていますし、ベアクローとまでは行かないまでも美しい縮み杢も出ています。
サイドバックのローズは美しい柾目、指板とブリッジのエボニーは漆黒の最上グレードです。最近はマーティンでも漆黒のエボニー材は希少になってきていますが、本器は画像の通り極上の材が使用されています。
ロゼットやパーフリングの仕上げもため息が出るような高精度と美しさです。
愚直なまでに堅実に、真面目に、弾き手のことを心から思う少数精鋭の工房だからこそ出来る、細やかな心配りが隅々まで行き届いた逸品であることは確実です。
儲け第一で考えるなら、定価が1.5〜2倍程度になったとしてもすぐ買い手が付くのではないでしょうか。限定生産品とは言え、オークションに中々出てこないことからも推測出来るかと思います。
私は添い遂げてあげることは出来ませんが、どうか一生物として大切に育てていただける方に嫁いでくれれば幸いです。
長々とした駄文に最後までお付き合いくださりありがとうございました。