
自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
未完。 仲代達矢
名優、仲代達矢が映画黄金期の逸話とともに語る次の世代に遺すべきこととは
2011年2月からスタートした『日刊ゲンダイ』のシリーズ「私を語る」での仲代達矢氏の連載に追加取材をして新たに書き下ろし。
日本の映画黄金期を支えた俳優の一人である仲代達矢。本書、そんな仲代が当時の現場で出会った三島由紀夫、黒澤明、中村錦之助(萬屋錦之介)、三船敏郎、勝新太郎ら、当時の勢いのあった映画界を牽引してきた著名人たちのリアルな熱が感じられる逸話も満載。
また現在、81歳を迎えた彼が、「今何を想い、どこへ向っていくのか」という、自身の経験を経て語られる仲代が次の世代に遺していきたい「映画人、舞台人としての使命」が感じられる1冊。
「死ぬのは怖くないですね。ええ、全く」。これまで口をつぐんできた戦争体験、日本映画黄金期の修羅、そして残りの人生を余命とばかりに生き急ぎ、挑戦し続ける理由、葛藤、八〇代の目指す境地とは…。混迷の時代を生き抜くあらゆる世代への珠玉のメッセージ。
目次
プロローグ 八〇歳の挑戦
第1章 センチュウハの伝言
第2章 焼け野原を駆ける
第3章 異邦人
第4章 狂気と正気の狭間で
第5章 虚業の光と影
第6章 赤秋の風に吹かれて
第7章 幻よ!大いなる幻影よ
第8章 燃え尽きるまで
エピローグ 老骨に残りし花の色
レビューより
仲代が80歳になって自らの人生を振り返って聞き書きした本。語っているのは仲代だが、取材して文章にしたのは長昭彦である。「出演した映画から一本を選べ」と言われたら、『切腹』(1962年)と答えると。確かに迫力のある殺陣なのだが、剣は真剣が使われていたという。中村錦之助、三船敏郎との喧嘩の話も面白く、昔はみんな熱くて取っ組み合いの喧嘩をしょっちゅうしてたんだな。
人間愛、平和の追求・戦争反対、皆と共に、高齢での挑戦、夫人に死を乗り越えて、元気をもらった。
お酒に強く、若い頃は錦之介や三船と喧嘩をし…。いやいや面白かった。やはり仲代なくして日本映画界は語れない。特に奥様への思いや師匠千田是也への複雑な感謝の気持ちをつづったところが印象的だった。
「戦争は二度とやっちゃいけない。それが戦中派の伝言だ」と訴え、一度は断った、名張毒ぶどう酒事件死刑囚の役も、自ら裁判や弁護士の資料に目を通し、”これは冤罪だ”と確信して引き受けられた気概。感動させられた。