■タイトル:SERENADE TO A PLANET ■レーベル:Ego Records[ドイツ・オリジナル] ■アーティスト:
Isla Eckinger(b)
Joe Haider(p)
Ferdinand Povel(ts)
Benny Bailey(tp,flh)
Kenny Clarke(dr) ■カタログNo:4004 ■コンディション:
レコードビニール:
■Side1-1/Aquarian Mood --- 【NM】
■Side1-2/The Kicker --- 【NM】
■Side1-3/You Tell Me --- 【NM】
■Side2-1/Little "B" --- 【NM】
■Side2-2/Serenade To A Planet --- 【NM】
■Side2-3/Neptunis --- 【NM】
このアルバムは、ハードバップとビバップの枠を超えながら、洗練されたメロディアスな演奏を展開しており、欧州在住期のベニー・ベイリーの成熟した力量が存分に感じられる内容となっています。ベイリーのトランペットは、エモーショナルな温度を保ちながらも、理知的に整えられたフレージングが魅力です。とくにタイトル曲「Serenade to a Planet」における流麗なテーマの語り口は、哀愁と希望が交錯する独特の抒情性を伴い、聴く者を宇宙的空間へと誘います。
この作品はアフロ・アメリカン・ジャズミュージシャンが欧州に活動の場を求めた時代の、重要な記録のひとつです。1970年代はアメリカ本国においてジャズの商業的地位が揺らぎ、フュージョンやロックの影に隠れる時期でした。その一方で、欧州ではハードバップ~ビバップ様式への根強い支持と、国際的なアーティストへの敬意が続いており、ジャズマンたちにとって芸術的・経済的により安定した環境を提供していました。この時期のベニー・ベイリーもその一例であり、本作はそうした「アメリカ国外での成熟したジャズ芸術」の記録として、一定の歴史的価値を持っています。