チープ・トリックがアメリカで本当のスターになれたのは、たくさんの日本のファンが歓声を送ったおかげだ。「I Want You to Want Me」のライヴバージョンを皮切りに、70年代終わりにヒットを連発し、80年代にも再び人気を盛り返した。とても親しみやすいメロディーを武器に、ビートルズっぽいハーモニーやブレイクを「Surrender」「Dream Police」や、後期のヒットであるロックバラード「The Flame」で実に印象的に聴かせてくれる。「Don't BE Cruel」のカバーは秀逸で、プレスリーのカヴァーで唯一トップ10ヒットとなった。「Ain't That a Shame」のカヴァーも負けない位いい出来だ。『Greatest Hits』は「ベスト」としては完璧ではないかもしれない。チャートヒットは網羅しているが、「He's a Whore」「Heaven Tonight」といった名曲が漏れているからだ。チープ・トリックの初期のオリジナルアルバム3枚を、買って聴いてみるのをおすすめする。全曲とも買って損はない出来で、『Greatest Hits』よりも聴きごたえがある。