Saint-Saens: Le Carnaval des Animaux
Benjamin Britten: Young Person's Guide to the Orchestra
(with Peter Pears, narrator)
Conductor: Igor Markevitch
Pianists: Geza Anda and Bela Siki
Philharmonia Orchestra
ANGEL 33135 MONO
ANGEL RECORDS
この録音が1955年3月新譜で英国で出た際のTHE GRAMOPHONEの月評の一部を拙訳で紹介させて頂こう。
まず月評子は、冒頭「この”動物の謝肉祭”の演奏は、これ以上のものはまず想像できないほどのものであり、これまでに発売された録音盤としてはスラットキン、アンドレ、セバッシャンの指揮した佳盤が存在するにせよ、それらに凌がれることはない」と始める。さもありなん、当LPの指揮は新進気鋭の天才指揮者マルケヴィッチ、管絃楽団はカラヤンに磨き抜かれた黄金期のフィルハーモニア管、準主役のピアノは当時英コロンビアの看板ピアニストとして覇を競っていた超絶技巧と知的な音楽性を有するゲザ・アンダとベラ・シキとなれば、文字通り決定盤としての不動の評価を得てモノラル録音にも拘わらずステレオ期以降も長く競合盤が出現することがなかったのも当然であろう。
月評に戻ると「フィルハーモニア管の木管セクションは《雌鶏と雄鶏(Poules et coqs)》ではその燦然たる技巧を披露しているが《森の奥のかっこう(Le coucou au fond des bois)》で舞台裏のクラリネットが忍び入るところは魔術的というほどではない。《大きな鳥かご(Voliere)》のフルート奏者は素晴らしく、《白鳥(Le cygne)》でのチェリストの表現には高貴さが横溢する。《ピアニスト(pianistes)》では2人のソロ・ピアニストは予想通りの輝かしいチーム振りを発揮しその燦然たる演奏を実に滑稽なユーモアで彩っている。通常、この曲の音階の箇所は達者な技巧で淀みなく弾き去られるものだが、アンダとシキは最初の部分ではたどたどしさを装いつつ弾き進め、結びの部分では疾走するかと思えば意表をつき息を抜くやうにを終える。この箇所のみでなく此処かしこで多様なタッチを駆使しこの作品を魅惑溢れる小喜劇(a good revue turn)に昇華させているのである。録音も第一級のものである。」
当LPは未使用(のフィルム装)のMINT盤と見られる。出品者も目視で検盤はするも試聴はしていない(もし瑕疵等あれば着払でご返送方)。