日本語歌詞対訳付き
ロッシーニ:
歌劇「ランスへの旅」(全曲)
クラウディオ・アバド指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 BPO
マクネアー、
ステューダー、
ヒメネス、
レイミー、ほか
緻密で軽やかなリズムが生気に満ちた音楽的感興を盛り上げていく味わいは絶品だ。非の打ち所がないと思われたDG盤からわずか数年で再録音するだけの事はある。個々の歌手は一長一短だが、少なくともアバドの指揮に関してはこの新盤の優位は動かない。
北フランスのランスでおこなわれる戴冠式を見物するため、あるホテルに集まった人々がドタバタ騒ぎを繰り広げ、結局、誰もランスに旅して戴冠式を見ることはなく、その場で国王とフランスの栄光を称えて終わりというこの『ランスへの旅』は、数あるロッシーニのオペラの中でも、盛り込まれたアリアの数の多さと技術的な難易度の高さで群を抜く作品でもあります。
作品は実際のシャルル10世の戴冠式を記念して書かれたものですが、そこはロッシーニということで、音楽はあくまでも楽しくテンポよく快適な進行を見せ、随所に聴きごたえのあるアリアが織り込まれる構成となっています。
舞台はずっと同じホテルですが、入れ替わり立ち替わり現れる登場人物は数が多く、アリアを歌う役柄が10人を超えるという空前の豪華さで、実際の上演に当たってはなによりも歌手のキャスティングが重要となります。
クラウディオ・アバドは 1984年にもこのオペラを録音しており、そのドイツ・グラモフォン盤は、ロッシーニ・ディスク大賞、ドイツ・レコード批評家賞、エディソン賞、グラモフォン賞、ディスク大賞、オルフェ・ドール、ペンギン・ロゼットなど多くの賞を受けてもいました。その後、1989年のウィーン国立歌劇場来日公演でも豪華キャストによる舞台で話題を呼び、その3年後におこなわれたのがこのベルリンでの上演です。
『ランスへの旅』は、舞台がずっと同じホテルということもあってか、初演もカンタータ形式でおこなわれるなど、演劇的要素よりも音楽的要素が重視される傾向があるため、アバドがここでおこなった半演奏会形式上演は、実演の高揚と精度の高い演奏の両立が可能という点でも非常に有意義なものと思われます。
実際、マイク・ポジション面でも有利な半演奏会形式上演ということで、サウンド面の魅力は旧盤を上回っており、さらに旧盤に遜色ない豪華なキャスティングに加え、演奏技術の極めて高度なベルリン・フィルの伴奏を得たことで、緻密さを増したアバドのアプローチが入念に表されるようになり、全体の仕上がりは非常に高水準なものとなっています。
ロッシーニ:
歌劇『ランスへの旅』(全曲)
シルヴィア・マクネアー(コリンナ、Sp)、
ルチア・ヴァレンティーニ=テッラーニ(メリベーア侯爵夫人、Ms)、
ルチアーナ・セッラ(フォル ヴィル伯爵夫人、Sp)、
シェリル・ステューダー(コルテーゼ夫人、Sp)、
ラウル・ヒメネス(騎士ベルフィオール、T)、 ウィリアム・マッテウッ ツィ(リーベンスコフ伯爵、T)、
サミュエル・レイミー(シドニー卿、Br)、 ルッジェーロ・ライモンディ(ドン・プロフォンド、Bs)、
エンツォ・ ダーラ(トロムボノク男爵、Bs)、 ルチオ・ガッロ(ドン・アルヴァーロ、Br)、
ジョルジョ・スルヤン(ドン・プルデンツィオ、Bs)、 グリエル モ・マッテイ(ドン・ルイジーノ、T)、
ニコレッタ・クリエル(デリア、Sp)、 バルバラ・フリットリ(マッダレーナ、モデスティーナ、Sp)、
クラ ウディオ・オテッリ(ゼフィリーノ、T) 、ボジダール・ニコロフ(アントーニオ、ジェルソミーノ、T)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン放送合唱団
録音:1992年10月
(Sony Classical)
国内盤、帯付き。
日本語歌詞対訳付き。
楽曲解説つき。
コンディション良好。
発送は、日本郵便クリックポストを予定しています。
土曜、日曜日は発送作業ができませんこと、ご了承ください。