おお、神よ。1988年、この人類史に残る暗黒の1年。ウォール街の崩壊が囁かれ、ベルリンの壁がまだ健在で、人々は未来に希望を抱いていた頃に、こんな毒々しいクソ映画が世に放たれたとは。『スカイ・チェイサー』（原題：Steal the Sky）、監督はジョン・D・ハンコックなる男。待てよ、ジョン・D・ハンコック？ あのアメリカ独立宣言にサインしたジョン・ハンコックの子孫か？ いや、そんな由緒正しき血筋がこんなゴミを産むはずがない。きっと、悪魔のイタズラだ。IMDbで5.2点、Rotten TomatoesすらまともにレビューしないレベルのこのTVムービーは、実話に基づくスパイ・スリラーのはずが、ただの安っぽい昼ドラに堕ちた悲劇。実在のイラク人パイロット、ムニール・レドファが1966年にMiG-21をイスラエルに持ち逃げした事件をモチーフにしている？ ふざけるな！ そんな勇気ある脱走劇を、こんな陳腐な脚本で汚すなんて、歴史の冒涜だ。今日こそこの空飛ぶクソ玉を、盛大に、容赦なく、徹底的にdisり倒す。覚悟しろ、読者諸君。君たちの目と耳と脳細胞が、永遠に救われる日が来るかもしれない。

物語は、1960年代の中東を舞台に始まる。イスラエルの美女スパイ、リア・ラウフ（マリエル・ヘミングウェイ）が、米国の石油王の妻を装ってイラクに潜入。目的は、ソ連製の最新鋭MiG戦闘機の情報を盗むこと。いや、待てよ、タイトルが『空を盗め』だろ？ だったら最初からMiGを盗めよ！ どうせなら、リアがコンドルになってバグダッド上空を爆走する方がマシだ。彼女の標的は、ハキム・タハルなるイラク空軍パイロット（ベン・クロス）。この男、妻と子供を捨ててまで、ヘミングウェイの尻に釣られて祖国を裏切る。スパイの基本、誘惑作戦だ。リアがセクシーなドレスで近づき、ハキムが「オー、マイ・ゴッド！」と落ちる。で？ ここからが地獄の始まり。

ハキムは家族に嘘をつき、リアと密会を重ね、ついにMiG-21を盗んでイスラエルへ飛ぶ。クライマックスは、夜間の脱走飛行シーン。迫力ある航空アクションのはずが、ただの安い模型飛行。エンジン音は古い掃除機みたいで、爆発エフェクトは花火の残りカス。実話ではレドファが本当に成功したのに、この映画のハキムは、まるで酔っ払いが自転車で坂を下るようなヘロヘロぶり。しかも、途中でソ連の追っ手が現れる？ いやいや、1966年のイラクにそんなハイテク追跡システムがあったか？ 脚本家は歴史書を逆さまに読んだのか？ 全体のプロットは、ジェームズ・ボンドの劣化コピー。ボンドならここでガジェット満載のQ支給車で逃げるのに、この映画のQはただの古いフォード車。スパイ映画の醍醐味である緊張感？ ゼロ。代わりに、リアとハキムの恋愛シーンが延々と続く。ベッドで囁き合う二人は、まるで低予算のソープオペラ。ハキムの「愛してるよ、リア。でも祖国を裏切るのは辛い…」というセリフを聞くたび、観客は「だったら裏切るなよ！」と叫びたくなる。2時間のランニングタイム中、アクションは10分、残りはただの砂漠散策と退屈な会話。空を盗む？ いや、観客の時間を盗んだ罪は重いぞ！

さあ、キャストの惨状をdisろう。主役のマリエル・ヘミングウェイ。『マンハッタン』でウディ・アレンの相手役をこなした彼女が、なぜこんなB級スパイに？ リアの役は、セクシーで聡明なスパイのはず。だが、ヘミングウェイの演技は、まるで冷凍保存された魚の目。誘惑シーンで彼女が微笑むと、砂漠の風が止まるほど寒い。ベン・クロスとのキスシーン？ あれは二人が互いに「早く終わらせよう」と目で合図を送り合ってるだけだ。ベン・クロス、ハキム役。『チャリオッツ・オブ・ファイア』でオリンピックランナーを演じた彼が、ここではただの情けない浮気夫。祖国愛を叫ぶシーンで、彼の目は虚空をさまよい、声は枯れた井戸の底から響く。情熱？ ない。葛藤？ ない。ただの「給料日まであと3日」のサラリーマン顔。マシュー・モディーンは、米軍のエージェント役でちらりと出るが、存在感ゼロ。まるで背景のエキストラが間違って台詞を貰ったみたい。脇役のイラク人将校たち？ ステレオタイプの悪役そのもの。髭を撫でながら「アッラーアクバル！」と叫ぶが、英語アクセントがひどすぎて、まるでインド料理屋の店員がアラビア語を真似てる。家族の妻役の女優は、泣くシーンで涙が出ないから目薬を差してるのが丸見え。監督よ、演技指導は「立って喋れ」で済ませたのか？ このキャストでアカデミー賞狙うなら、せめて「最悪の木偶の坊」部門だ。

脚本は、マイケル・レヴァインとデヴィッド・エステス。実話を基にしている？ 笑わせるな！ 実際のレドファはアッシリア人で、CIAの支援を受け、家族も一緒に脱走した。なのに、この映画はハキムをただのスケベ中年男に貶め、リアを「白人救世主」みたいに描く。文化的な無知が炸裂だ。中東の描写？ バグダッドの街並みは、ヨルダンで撮った安いセット。市場シーンは、ディズニーランドのエジプトパビリオンをコピーしただけ。イスラム文化のニュアンス？ ゼロ。ハキムが酒を飲むシーンがあるが、1960年代のイラクでそんなにオープンか？ 脚本家はGoogleマップすら使わず、頭の中の「砂漠＝テント＋ラクダ」で満足したんだろう。恋愛要素は特に惨め。リアとハキムのロマンスは、まるで『ロミオとジュリエット』の劣化版。だが、シェイクスピアなら悲劇で終わるのに、ここはハッピーエンド。ハキムがMiGで飛んでくシーンで、BGMが流れる。「自由の翼！」みたいなナレーションが入るが、観客は「早く終われ！」と祈るのみ。

演出のジョン・D・ハンコックは、まるで眠気と戦ってるみたい。カメラワークは固定ショットばかりで、緊張感ゼロ。飛行シーンだけは、実際のMiG機材を使ってるらしいが、それすら陳腐。低空飛行の迫力？ ない。追跡機のミサイル？ ただの火薬玉がポンッと爆発。特殊効果予算は、せいぜいピザ3枚分。砂漠の風景は美しいが、それがこの映画の唯一の救い。いや、待てよ、美しい砂漠をこんなクソストーリーで汚すなんて、環境破壊だ！ 中東の政治的緊張を扱うなら、せめて『ゼロ・ダーク・サーティ』レベルの深みを。だが、これはただの「白人ヒーローが有色人種を救う」植民地主義の残骸。1988年だぞ？ そんな古臭いプロパガンダをTVで流すなんて、FOXニュースの前身か？

サウンドトラック？ 忘れろ。ジョン・スコットの作曲は、まるでエレベーターのBGM。スパイ映画なら、ヘンリー・マンシーニのジャジーな曲が欲しいのに、ここはただのオーケストラのうめき声。音響効果は最悪。MiGのジェット音が、まるで壊れたドライヤー。爆発音は、誰かが風船を割っただけ。編集はグダグダで、シーン間のつなぎが唐突。ハキムが家族と別れるシーンから、いきなりリアとのベッドシーン？ 観客の脳が追いつかない。衣装デザインも笑える。リアのドレスは60年代風だが、安物シルクで光沢ゼロ。ハキムの軍服は、劇団四季の貸衣装みたい。メイク？ ヘミングウェイの砂漠焼けは、ただの日焼け止め忘れ。全体のペースは、亀の散歩。2時間で何が起きたか？ 何も。クライマックスでハキムがイスラエルに着陸するが、歓迎のシーンはしょぼい。CIAのエージェントが拍手するだけ。実話の英雄を、こんなチープエンドで締めくくるなんて、吐き気がする。

文化的影響？ ない。公開当時、LA Timesは「サスペンスゼロ、恋愛薄っぺら、中東描写浅い」と酷評。IMDbのユーザーも「飛行シーンだけマシ」と毒を吐く。カルト的人気？ ない。ただのVHSの埃かぶり。今日、2025年の視点から見れば、#MeToo時代にこんな「誘惑で男を操る女スパイ」を描くなんて、時代錯誤の極み。ハキムの裏切りは、ただの男の弱さの言い訳。実話のレドファは英雄なのに、この映画は彼をスケベおじさんに貶めた罪は重い。

『スカイ・チェイサー』は、スパイ映画の名の下に、観客の期待をMiG並みの速度で粉砕した怪物だ。実話を基にしながら、緊張感ゼロ、演技平板、脚本無知、文化侮辱のフルコース。監督ハンコックよ、君は空を盗むどころか、映画の信用を盗んだ。キャストの皆さん、申し訳ないが、次は本物の脚本を選べ。星評価？ マイナス5点。満点が10なら、宇宙のブラックホール級の負点だ。こんな映画を見るなら、砂漠で本物のMiGを待った方がマシ。いや、待てよ、そんな金と勇気があるなら、最初からこの映画を買うな！ 読者諸君、絶対に避けろ。このクソを観たら、君の人生のMiGが墜落するぞ。次回はもっとマシなゴミを紹介するが、今日はこれで許せ。空に祈ろう―二度とこんな映画が飛ばないことを。