ARIA 506
アリア
1927年創立の老舗、 ミタカ電機製作所のブランドで1959年に会社が消滅するまで使用された由緒正しいブランドネーム。
戦時中の省資源型統一規格国策ラジオ生産にあっても、ナンバーワンの品質を求めたミタカの企業姿勢は、
やはり本機にも引き継がれているに違いありません。
戦前のエアプレーンダイヤルを彷彿させるオールドスタイルの大きなダイヤル盤。
良く見れば、このダイヤル盤が取り付くフロントフェイシアは、直立ではなく、傾斜していることに気付かされます。
それならば、バリコン軸やプーリーの納まりはどうなっているのでしょうか?
その答えは、キャビネット奥 (背板側) に向かって下がり傾斜に設置されたシャシーにあります。
バリコン軸はシャシーの傾きに応じて上向きにセットされて、傾斜したダイヤル盤とマッチするようになっています。
垂直面にある、TONE, TUNING, VOLUMEの各ノブは、それゆえ僅かに上向きに付くことになります。
道理でこれらのノブが腰高の位置にあるわけです。
ここまでしないと組めない傾斜フェイシア。それゆえ滅多にない仕様で、これは珍品です。
この仕様は、シャシー強度にも配慮が要るようです。
本機のシャシーは、充分厚い鉄板を使いながらも、傾斜応力に耐えるようにブレース(筋交い)が入っています。
いったい、このラジオはデザインでどれだけ費やしたのでし6ょうか。
その努力は販売で報われたのでしょうか。
ミタカ電機 アリア506 何の資料も無く、全て不詳のラジオ。
手掛かりのひとつは、1700KCを刻むダイヤル盤。これは1950年以前のダイヤル仕様を示し、同じく刻まれた在京民放2局のコールサイン、JOQR(文化放送協会ラジオ)とJOKR(TBSラジオ)共に民間放送開始1951年(昭和26年)の開局です。
このラジオの製作時期は、民放開局が決まった1950年頃と考えるとスッキリします。
また、検波管が6Z-DH3Aですから、1948年を遡ることはない筈です。
資料が無いので、私にはこれらの歴史的背景を推理することしかできません。
機器概要
ST管5球スーパーヘテロダイン(6W-C5, 6D6, 6Z-DH3A, 42, 80)
照明組み込みエアプレーンダイヤル
音質調節
外部入力端子
7インチ フィールドコイルスピーカー
ケース組み込みOSCコイル(IFTのような形)
アリア純正ノブ
アリア純正ACプラグ
正面左右パネル: 上部オーク突板ワックス仕上げ、下部チェリー単板エボニー艶消し)
キャビネット: オイルフィニッシュ(WATOCOチェリー色)
コンデンサ交換済み
シャシー塗装は裏面も行われています。
※エアプレーンダイヤルのべセルは、金色を磨き出したり、色を盛ったりすると途端に嘘臭くなるので止めておきました。
本機の長い歴史を語らせる部分にしておきます。
さて、受信性能は経年の5球スーパーで最優秀です。
1300kHz以上で感度が落ち込むこともなく、フィールド型スピーカーは十分な音量を奏でています。
外部入力でも音量不足を生じることはありませんでした。傾斜したバッフルから良い方向に音が出ています。
当方での受信確認を経てはいますが、受信はご住居の地域、環境、構造に大きく左右される部分です。
最低数メートルのリード線をアンテナ端子に接続することは必須です。
また、整備品とはいえ本機の構成部品は75年の経年につき、コンディションの変化もあり得ます。
ご理解の上のご入札をお願い申し上げます。
(2025年 1月 15日 14時 15分 追加)外部入力ケーブルは添付いたします。