jensen P12Rの出品です。「もっと読む」ボタンをクリックして、写真と説明をご確認ください。パソコンを利用の方はそのまま最後まで閲覧ください。
・説明文をご確認の上ご入札ください。説明文下に詳細な写真を多数記載しております。是非ご覧ください。
jensenの12インチスピーカーユニット、P12Rです。シルバーフレームの最初期オリジナルです。
コーンは接ぎ張りになる前の一体成型のもので、錆びに強いシルバーフレームです。
P12RはギブソンのGAシリーズや、フェンダーのツイードデラックス1954年~1959年、を始め、初期のエピフォン、アンペグ、そして、Rock-olaのジューク・ボックスにも使われました。1950年代、Rock-olaではmodel-1455を皮切りにmodel-1457, model-1458, model-1462, model-1464, model-1465などに搭載され、ロックンロールとアメリカの大衆音楽を牽引しました。あの美しいアーチ型ジュークボックスで有名なwurlitzerでは、初期の木製の頃から歴代のP12を使用していました。
磁気回路は冷戦前のソヴィエト圏で採掘されたコバルトによる、アルミニウムコバルトの最も強い磁石を使用したアルニコ5です。質量は驚くほど軽く、強力で、持ち運びに最適です。アルニコ5の磁気回路によって磁束密度はボイス・コイルに集中しており、高能率で、ピーク帯では110dBにも及びます。この音響エネルギーは、5Wのアンプで映画館を満席に出来る換算です。
コーン紙はノン・コルゲーションで、厚みに変化を持たせたもので、後期の接ぎ張り廉価版とは似て異なるものです。
コーンの厚みは極めて薄く、パンと張りのある質感は、そのまま再生音に反映されます。乾ききったコーンは音離れが良く、音が客席にまで飛び出してくることからフライング・ユニットと呼ばれました。
スピーカーユニットは音楽の動きを支配します。エキサインティングな演奏を可能にし、ドラマチックな音の推移は、真に音楽的な体験を可能にします。
ピックアタックは明瞭で、表情は豊かなタイプです。ミッド・センチュリーのゴールデン・エイジの音をお楽しみください。
古いものですので、ジャンクにてノークレーム・ノーリターンでの出品です。ご了承ください。
愛知県からヤマトの着払いで発送致します。
(2025年 1月 16日 7時 32分 追加) 沢山のご質問ありがとうございます。様々な質問があったために、まとめて追記いたします。
この個体の製造年月日は1955年の8月28日~9月3日です。製造年月日はシリアルコードから読み取ることができます。
ナンバーは220535です。頭3ケタの220はジェンセンが製造しているという事を示しています。4ケタ目の5は45年製か、55年製か、65年製か、75年製ということになりますが、これはシルバーフレームなので55年製であることが判ります。後ろの35は製造した月日を示すコードです。
このモデルは1947年に製造を開始したもので、1945年ということはあり得ないので、55年製造以降ということになります。コーン紙にコルゲーション(ひだ)の入っているものは新しいものか、リコーンしたものです。1956年にバーソロミュー・ロカンシー2世がJBL社でD123というコルゲーション入りのエクステンテッド・モデルの高級スピーカーを設計したことにより、それ以降、コルゲーション技術がオーディオ界に浸透していきました。(実際にコルゲーションが一般的になったのは70年代からです。)このモデルにはいくつものバージョンがあります。諸説あり、ジェンセンがいつからコルゲーションを用いるようになったかは定かではありません。いま、「50年代オリジナル」と銘打ち売られているフェンダーのツイードにコルゲーション付きのP12Rが搭載されていることもありますが、これはリコーンされているか、ユーザーがユニットを飛ばして新しいものに入れ替えている可能性があります。
55年製である根拠はフレームのカラーと、クロス・ハッチングと呼ばれるエッチングの絵画技法の技術を応用したコーン紙の表面の網掛け状の凹凸があること。そして、センターキャップがフェルトであることから推測することができます。残念ながら、多くのフェンダーのユニットは新しいものに交換されているか、コーン紙がリコーンされています。中にはアルニコ5のベルキャップを外して取り付けただけのフェライトモデルが搭載されているケースもありますので、ご注意ください。60年代や70年代のジェンセンも、それはまた違った意味で素晴らしいサウンドを奏でてくれますが、50年代のジェンセンの持つ、率直で豊かな感情のエモーションは、格別のものです。
50年代のジュークボックスをご覧ください。ジュークボックスは、喫茶店などに置かれていた理由から、音量もそれほど上げて使われてこなかった為に、無傷のものが多く存在しています。昔のアンプは、プリに歪ませるサーキットを持たせていないため、パワーアンプ側で歪みを生み出す必要がありました。そのために、スピーカーに負荷をかけることが多かったのです。
また、当時のブルースマンやロックンローラーは、ライブでワイルドさ(歪み感)を演出するために、4度フラットなどの不協和音を用いていました。音量を上げた状態で5弦と6弦を使って1度を奏でながら4度を奏で、4度を1フレットフラットさせて、再び戻してみてください。スピーカーユニットの動作が混変調によってセンターからずれて動作するのが分かると思います。時空が揺らぐような波動が出るのが確認できると思います。小さな音量なら大丈夫ですが、フルボリュームでこれを繰り返すとボイスコイルがギャップに接触し、擦り切れることがあります。こうしたことなどが理由で、ブルースやロックのギタリストは、ギターアンプのスピーカーユニットの寿命を縮めてきました。また、コンボアンプはミュージシャンが頻繁に持ち運びするために、リード線の磁性粉が酸化して導通が取れなくなるというパターンが多くありました。アメリカの貸しスタジオはアンプが用意されていない為に、雨が降ろうと風が吹こうとギタリストが自ら運んでいたのです。磁性体粉のリード線は素人では溶接が難しく、コーンアッセンブリーごと変えることが一般的でした。
50年代のRock-ola 1455などのジュークボックスに搭載されているものをつぶさに観察してみてください。古い物はシルバーフレームのP12Rが搭載されていることが判ると思います。シルバー・フレームを見たら、それはジェンセンの古い磁気回路である証です。
フェルトのダストカバーや、ノン・コルゲーションのコーンは品質の安定が難しく、新しいものでは採用されていません。このコーン紙がリコーンされたものではないということを証明しています。これは1947年の最初期型とまったく同じ構造です。
純然たる本物のP12Rオリジナルを、この機会に入手されてはいかがでしょうか。ロックンローラーやシカゴ・ブルースの達人たちが、なぜ3コードによる楽曲を、単純に音量を上下させるだけで聴衆たちを熱狂させることができたのか、お分かりになると思います。異次元の音楽的体験をご体感ください。