曽根茂は1971年に三重県菰野町に生まれ、1996年に京都大学文学部史学科考古学専攻を卒業。2000年に昭和会展優秀賞を受賞し、以降、大丸京都店、大丸神戸店、松坂屋名古屋店、三越仙台店などで定期的に個展を開催しているほか、「創と造 現代日本絵画・工芸新作展」などの企画展にも継続して出品している。現在は無所属で京都市在住。作品はホキ美術館（千葉県）に所蔵されている。作風は、風や光、時間といった要素を画面全体に取り込み、事実の再現を超えて詩情豊かな郷愁の世界を描き出す点に特徴がある。

曽根茂「朝露・水無月」油彩 6号 2009年作
曽根茂氏（1971年三重県生まれ）は、1996年に京都大学文学部史学科を卒業後、画家として活動を開始し、2000年に昭和会展優秀賞を受賞するなど、具象絵画の世界で高い評価を確立してきました。現在、無所属で京都市を拠点とし、大丸や松坂屋などで個展を定期的に開催しており、作品はホキ美術館にも所蔵されています。この「朝露・水無月」（2009年）は、氏が写実的な探求を深めていた時期に描かれた代表的な作品の一つです。

作品には、深く鮮やかな緑の稲穂が広がる水田と、霧に包まれた山々が、緻密な筆致で描き出されています。タイトルにある「朝露」は、早朝のひんやりとした静寂、そして光を帯びて輝く湿潤な空気感を表現し、「水無月」（旧暦6月）は、日本の豊かな水の恵みと生命力を象徴しています。曽根氏の作風である、事実の再現を超えて風や光、時間といった要素を画面に取り込み、見る者の心に詩情豊かな郷愁を呼び起こす世界観が、この一枚に凝縮されています。