
■ 概要
1970年代後半〜80年代初頭に製造された、Fresher Straighterのストラトキャスタータイプです。
本機は第4期にあたる共和商会期のモデルで、TokaiやGrecoと並ぶ国産ビンテージ黄金期の一本。
製造は名古屋の老舗工房「中信楽器(Chuushin Gakki)」によるものと見られます。
中信楽器は、当時の国産ギター産業を支えた重要メーカーのひとつで、
自社ブランド「Fresher」を展開しながら、Ibanez、Washburn、Jackson Japan初期ラインなど
世界的ブランドへのOEM供給・木工協力を行っていました。
その確かな加工精度と堅牢な設計思想は、今日でも「隠れた名工房」として再注目されています。
■ 製造背景:中信楽器と共和商会の時代
1970年代中盤、名古屋の中信楽器は自社ブランド「Fresher」を立ち上げ、
松本・名古屋圏の職人ネットワークを背景に高品質なギターを製造していました。
その後、販売元が共和商会(Kyowa Shokai)へ移行し、全国流通体制を確立。
共和商会は輸出や国内販売を担い、「中信のクラフトマンシップ × 商社の管理体制」によって、
国産ブランドとしての完成度が大きく向上しました。
この時期のFresherは、Tokai Silver StarやGreco SEシリーズに匹敵する
「実戦で使える国産ストラト」としてプロ/セミプロ層にも浸透していきます。
■ 中信楽器のOEMネットワーク(資料的補足)
中信楽器はFresher以外にも、多くのブランド製造に関わったことで知られています。
代表的なものは以下の通りです。
・Ibanez(星野楽器):1970年代中期の一部STシリーズ(ST50前後)で木工供給。
・Washburn(Wingシリーズ期):Matsumoku製と並行して、廉価ラインの木部加工を担当。
・Jackson Japan(初期):ESPが本格参入する前の試作・OEM期に木工協力。
共和商会経由でSoloist型ボディを少数製作していたとされる。
・Phoenix / Gession / Pine / Hot Licks:国内流通ブランドへのOEM供給。
・H.S. Anderson(春日系):woodline初期モデルに木工部品提供説あり。
このように、中信楽器は「国産ブランドを横断的に支えた職人工房」として機能しており、
特に本機のような第4期Fresherには、その経験とノウハウが最も凝縮されています。
■ 特徴
・スモールヘッド+ローズ指板仕様(極めて珍しい)
CBS期以降はラージヘッドが主流のため、この仕様は非常に少数。
ヴィンテージらしいオリンピックホワイトの色焼けが美しいです。
・分厚いスチールブロックブリッジ
倍音豊かでサスティーンも長く、国産ビンテージ特有の「芯のある鳴り」を実現。
・しっかりとしたネックグリップと高精度ジョイント
中信楽器らしい丁寧な仕込み。振動伝達が良く、木部の鳴りがダイレクトです。
■ サウンド
分厚いスチールブロックと牛骨ナットにより、
・ロングサスティーン
・立体的な和音分離
・カッティングでも埋もれない輪郭
を実現。
トーンは中域に厚みがあり、TokaiやGrecoと比べても遜色のない完成度。
フロントは温かみ、リアは乾いたドライブ感を持つ、まさに“プレイヤーのための国産ストラト”です。
■ 状態
・経年による小傷・ウェザーチェックあり(演奏に支障なし)
・ネックストレート/トラスロッド余裕あり
・電装系は全て新品交換済(ポット・ジャック・コンデンサー)
・フレット残約8割、ビビりなし
即戦力コンディションです。
■ 推定スペック(テキスト形式)
ボディ:セン材 3ピース
ネック:メイプル+ローズ指板
ペグ:ロトマチックタイプ
ブリッジ:6点支持+スチールブロック
コントロール:1Vol、2Tone、3WAY
重量:約3.7kg
■ 注意事項
ビンテージギターのため、外観には経年変化や小傷があります。
完璧な外観を求める方・神経質な方は入札をお控えください。
ノークレーム・ノーリターンでお願いします。
■ 発送
ヤマト運輸にて厳重梱包で発送。
ボディとネックを保護し、弦緩め処理+プチプチにて保護してお送りします。
■ 総評
TokaiやGrecoの陰に隠れがちなFresherですが、
この共和商会期/中信楽器製モデルは、国産黄金期を象徴する高品質機です。
特に本機は、Ibanez〜Jackson Japan初期ラインにも関わった中信楽器の系譜に位置づけられる貴重な一本。
精度・鳴り・演奏性の三拍子が揃った、真に“使えるビンテージ・ストラト”。
現代パーツとの親和性も高く、実戦投入にも十分対応する一本です。