顧洛水は1986年中国洛陽生まれ、2016年に京都芸術大学大学院日本画専攻博士課程を修了し博士号取得、現在は日本美術院院友および京都芸術大学美術工芸学科日本画専攻非常勤講師を務める。アート台北やアートフェア東京などのアートフェアに出品し、「美人画尽くし」にも掲載されるなど高い評価を受ける。作風は丹念に描写したしぐさや表情から愛情や悲哀がにじみ出る女性像が特徴で、花を散りばめた重層的な空間表現とともに、秘めた情念を感じさせる美人画で人気を博し、今展では裸婦像に加え日本や中国の伝統衣装を纏った女性像も発表する。

顧洛水「夢・花Ⅱ」日本画 6号 2016年作 金落款 金泥仕様
顧洛水による《夢・花Ⅱ》は、静けさと美しさが見事に調和した幻想的な日本画です。画面には、目を閉じ、そっと花の香りを受け止める若い女性の姿が描かれています。その顔立ちは整っており、凛とした気品と繊細なやわらかさをあわせ持ち、観る者の心を優しく包み込みます。

彼女の肌は淡く滑らかに表現され、肩に落ちる花びらや手に添えた一輪の花が、彼女の儚さと内面の感受性を象徴するかのようです。背景には蝶の羽が静かに重なり合い、時が止まったかのような夢幻の空間が広がります。柔らかな色彩と緻密な線描は、顧洛水が中国と日本、二つの文化を背景に培ってきた深い美意識の結晶といえるでしょう。

本作は、「夢」と「花」という象徴的なテーマを通して、心の奥にある静かな情感や、言葉にならない記憶のようなものをそっと映し出しています。美とは何か、そして人の内面に宿る静寂とは何か。その問いかけに、そっと寄り添うような一枚です。画伯の美人画の名画です。