創業者のアルベール・スティンクリンツアーは、フランス各地の有名メゾンで厳しい修行を重ねながら 研鑽を積み、頂点を目指す職人として妥協を許さない日々を過ごしました。その姿勢と情熱は "Compagnon de Tour deFrance"の受賞という形で実を結び、1945年にパリ市内ボブールにエネルス社を 創設しました。受賞後もアルベールの情熱は衰えることはなく、「常に最高の仕事をしたい」という彼のバッグ作りへの 打ち込み方は周囲を驚かせたと伝えられています。その情熱と技の全てを伝えがたいために、当時まだ13歳の息子 クロードを徹底的に鍛え始めたのもその頃です。息子のクロードは、幼いころから慣れ親しんできた素材の匂いや色、 質感などを五感で感じ取ることから始め、父の情熱と技のひとつひとつを指先の皮膚を通じて受け継いできました。 クロードは15歳の時、自らの意志でフランス各地のメゾンに修行の旅に出ます。そして、その4年後に20歳の若さで 父と同じ"Compagnon de Tour deFrance"の称号を取得します。1950年代後半、ディティールにまでこだわりを見せる エネルスの作品はイブ・サンローラン、ジャン・パトゥーなど名門メゾンの要請に応じるようになり、その顧客である モロッコ国王ハッサン二世やUAEのアルタニ・デュ・カタール皇太子など世界の王室からも依頼を受けるようになります。 1960年代には、ドゴール元フランス大統領夫人なども顧客に加わり、名実ともにフランスを代表する "Compagnon de Tour deFrance"のひとりとして、地位と名声を確かなものにしました。そして、1970年代、パリの中で 最も高級なハンドメイドバッグのエルメスブティックからも注文を受けるようになり、その「技」が一層 の輝きを見せることになります。しかし、エネルスの名が一般の人たちの前にでることはありませんでした。 それでも世界中に愛され続けるブランド、それが【エネルス】です。