【真作保証】近岡 善次郎《乳のみマリア像》ガラス絵 イコン
【作品概要】
作者:近岡 善次郎(ちかおか ぜんじろう、1914年(大正3年)8月10日 - 2007年(平成19年)6月3日)
サイズ:約14×9.5cm
署名:右下「ZEN」
裏書:〈乳のみマリア像 近岡善次郎〉印有
取扱:銀座和光
図録掲載:同書 p.23
状態:全体良好
【付属品】布、特製図録
【付属図録】硝子絵の聖母: 近岡善次郎のイコン 単行本 1986/6/1 *特製版、作家署名入り献本。
近岡 善次郎 (著)
*著者直筆サイン。特製版。箱入り。ポストカードが付属。
*当該図録の表紙にも本作品が掲載されています。
【解説】
① 作品の同定
本作は『近岡善次郎のイコン──硝子絵の聖母』(平凡社刊)に掲載された作品。
書籍の p.23 に掲載された図版と、線描・構図・背景の天使・色面の分割、そして「ZEN」署名位置まで完全に同一。裏面の貼札にも〈乳のみマリア像 近岡善次郎 印〉とあり、本人制作・本人管理台帳の一作。
② 技法と構成
技法:ガラス裏面からの彩色(逆描画)、金箔背景。近岡独特の重層彩色で、下層に白地を置き、上層に明るい原色を重ねる。
サイズ:14.0×9.5cm
署名:右下に “ZEN” の略号サイン
額装:金箔木製聖堂型枠、赤ビロード仕上げ台座付き。WAKO(銀座和光)特製箱入り。
ガラス絵の表現としては、ルーマニアやロシア正教圏のイコン画を参照しつつも、日本的な清らかさと温かみを兼ね備えている。
マリアの眼差しのやわらかさ、幼子イエスのあどけなさ、金の装飾の節度が、近岡作品の成熟期の特徴を示している。
③ 保存・付属品の完全性
この個体は状態・付属ともに極めて理想的な水準にある。
保存状態:ガラス面の彩色剥落なし。金箔も健全。額縁も変色・退色がほとんどない。
裏書:作家直筆の貼札、落款付き。
収納箱:銀座WAKO印入り専用箱。作品保護布付き。
資料同梱:『硝子絵の聖母』(特製本、作家署名入り献本)付き。
④ 位置づけと美術的評価
「乳のみマリア像」は、キリスト教美術の中でも古くから繰り返し描かれてきた母性と救済の象徴である。
近岡はこの主題を、日本人の感性で再解釈した。母子の距離感、装飾的でありながら冷たくない色面、そして金箔の柔らかな光。
キリスト教徒でなくとも共感を誘う、宗教画を超えた普遍的母子像となっている。
この作品は、近岡ガラス絵の中でも「代表的主題」「代表的様式」「代表的額装」の三拍子が揃うため、コレクション価値が非常に高い。