明晰かつ斬新な解釈で世界を魅了したレヴィン&ガーディナーのベートーヴェン全集は、
素朴ながらも透明感溢れるレヴィンのフォルテピアノとこれをサポートするガーディナーが、
ベートーヴェンのイメージしたであろう響きの全てを見事に具現化した名盤です。
彼らのこだわりは演奏だけでなく収録作品にも現れています。
協奏曲に加えてロンド、合唱幻想曲は勿論のこと、
協奏曲第4番のピアノ六重奏版と交響曲第2番のピアノ三重奏版という編曲版2作品も収録、
特に協奏曲第4番のピアノ六重奏版はこれが世界初録音でした。
資料的価値も非常に高いBOX!
ト長調ピアノ協奏曲の室内楽ヴァージョンの成立は、1807年の晩春にさかのぼり、
それはベートーヴェンのパトロンであるフランツ・ヨーゼフ・ロプコヴィッツ侯爵(Prince Franz Joseph Lobkowitz)のウィーン宮殿の3月に行われた招待コンサートで、
オリジナル・ヴァージョンの初演後、さほど時を経ていない時期であった。
おそらく侯爵の後ろで、ふたつのヴァイオリン、ふたつのヴィオラ、そしてチェロに縮小されることで、
よりこぢんまりとした実用に供する演奏が-その中のヴァイオリンの1パート侯爵自身が受け持ったのだが-フル・オーケストラのスコアに取って代わることになっていたのだ。
ベートーヴェン自身、ソロ・ピアノ・パート上の改変を引き受けることで、この要請を実現することに尽力した。
ところがベートーヴェンはオーケストラ伴奏のトランスクリプションを、
有名なウィーン人編曲家フランツ・アレクサンダー・ペッシンガー(Franz Alexander Possinger 1767-1827)に委託した。
~中略~
編曲を作ることは、特別な興味や関心を培い深めるのと同じような、前もって欠くことのできない個人的意図(目的)を必要とした。
私たちは、ロプコヴィッツ侯爵のために作った室内楽ヴァージョン作品58が、この場合であったと推測するが、
あるいは、もっと単純に、それらは幅広い公衆に向かって語りかけられたのだ。
音楽愛好家たちは、より小規模で平易に組み立てられた音楽演奏を要求した。
Disc 1
1.ピアノ協奏曲 第2番
2.ピアノと管弦楽のためのロンド
3.ピアノ協奏曲 第1番
Disc 2
1.ピアノ協奏曲 第3番
2.ピアノ協奏曲 第4番
Disc 3
1.ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」
2.合唱幻想曲
Disc 4
1.ピアノ協奏曲 第4番 (ピアノ六重奏のための)
2.交響曲 第2番 (ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための)
ロバート・レヴィン(フォルテピアノ)
ジョン・エリオット・ガーディナー&オルケストル・レヴォリュショネル・エ・ロマンティク [DISC1-3]
モンテヴェルディ合唱団(DISC3[2])
ピーター・ハンソン(Vn)、ルーシー・ハワード(Vn)、アラン・ジョージ(Va)、アネッテ・イッサーリス(Va)、デイヴィット・ワトキン(Vc)[DISC4]
【録音】
1995年9月&1996年9月 ロンドン [DISC1]
1995年11月 ワトフォード [DISC2]
1995年11月 ロンドン [DISC3]
1997年12月 ロンドン [DISC4]