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【作品概要】
  作者:近岡 善次郎(ちかおか ぜんじろう、1914年(大正3年)8月10日 - 2007年(平成19年)6月3日)
  サイズ:約12×10cm
  署名:右下「ZEN」
  裏書:〈サンタ・マリア ガラス絵 近岡善次郎〉印有
  取扱:三越美術部(MITSUKOSHI Fine Art Dept.)登録No.FA5243/1999年「聖母子展」出展
  図録掲載:同書 p.18
  状態:ガラス彩色に若干の経年劣化あり、全体良好
  【付属品】三越美術部箱、経歴書、布、図録
  【付属図録】硝子絵の聖母: 近岡善次郎のイコン 単行本  1986/6/1
  近岡 善次郎 (著)
  【解説】
  ① 作品の特定と真正性:1999年に三越百貨店が主催した「近岡善次郎 聖母子展」(東京・日本橋本店、または主要地方店巡回)での出展登録番号付きの正式販売作品。裏面の直筆ラベル〈サンタ・マリア ガラス絵 近岡善次郎 印〉。図録『近岡善次郎のイコン──硝子絵の聖母』(平凡社)p.18 掲載作品。
  ② 作品の特徴と時期:
  技法:ガラス裏面彩色(金箔・エナメル調絵具)
  サイズ:12.0×10.0cm(図録記載値一致)
  署名:右下「ZEN」
  裏書:手漉和紙ラベル、墨書+朱印
  額装:白塗木枠(オリジナル)
  主題:「サンタ・マリア(聖母戴冠像)」──王冠を戴く聖母と幼子イエス
  この時期(1980年代後半〜1990年代前半)の近岡は、初期の柔らかな描線からややプリミティヴな構成に移行し、ルーマニア・トランシルヴァニア地方のフォーク・イコンの影響を明確に示している。
  細密な文様と大胆な単色対比が特徴で、いわば“民族的聖性”と“現代的単純化”を融合させたスタイルである。
  ③ 保存状態と付属資料:
  ガラス面:ごく小さな剥離(経年による彩色の欠け)ありだが、作品全体の印象を損なうものではない。
  額:白塗装枠に若干のヒビ(木の収縮による)
  付属:
   ・三越美術部の保管箱(登録ラベル付)
   ・保護布
   ・経歴書(略歴)
   ・平凡社刊図録一冊
  ④ 美術的評価:
  この作品は、近岡のガラス絵の中でも民俗聖像画(フォークイコン)風様式の完成形に位置づけられる。背景の幾何学模様は単なる装飾ではなく、光と祈りを象徴する「文様による祈りの場」であり、宗教美術としても非常に完成度が高い。構図の均衡と線描の素朴さは、西洋的リアリズムではなく、東欧・日本的抽象の融合として高く評価されるべき段階に達している。