歴史と風格を纏う、朝鮮唐津船徳利

朝鮮唐津は、天正から寛永（1573～1644年）の時代に九州・佐賀で焼成された唐津焼の一種であり、

その名の通り、朝鮮半島中部の陶芸の流れを汲んだ作風が特徴です。

その中でも「船徳利」は、実用性と美しさを兼ね備えた特別な存在として知られています。

肩がふくらんだ大振りなフォルムは、堂々たる風格を漂わせ、

白濁釉と黒釉が無造作に流れ落ちるその姿は、

まるで自然が生み出した景色のように雄大です。

一つとして同じものがないその表情は、時を経るごとに味わいを深めていきます。

さらに、船上での使用を考慮し、底が平たく広がる構造になっているのも大きな特徴です。

安定感を重視したこの形状は、まさに機能美の極みといえるでしょう。

また、ろくろを使わず、底と紐状の側面を叩いて成形することで、

薄手でありながらも固く締まり、しっかりとした強度を持っています。

歴史を感じさせる佇まいと、朝鮮唐津ならではの温かみある風合いが魅力の船徳利。

時代を超えて受け継がれてきた技と美を、この機会にぜひご堪能ください。