チュニジア出身のプログレッシヴ・ヘヴィメタル・バンド、ミラス。LOUD PARK16における圧巻のステージで、ここ日本でも一気にその名が広まった感がある彼らだが、前身バンドからの活動を含めれば、そのキャリアはすでに20年に手が届こうかというベテランである。01年に結成されたX-Tazyというバンドがミラスと改名した06年、バンドにとって大きな転機が訪れる。昨年惜しくも解散してしまったフランスのプログレッシヴ・メタル・バンド、アダージョとの邂逅だ。ロバート・プラントとアダージョのオープニング・アクトを務めたミラスは、そこでアダージョのキーボーディスト、ケヴィン・コドフェールと意気投合。翌07年、ケヴィンをプロデューサーに迎え、『Hope』にてアルバム・デビューを果たすこととなる。ケヴィンとのタッグはその後も続き、10年にはセカンド・アルバム『Desert Call』、11年にはサード・アルバム『Tales of the Sands』をリリース。チュニジア及びアフリカ、アラブなどの民俗音楽からの影響を積極的に取り込んだ、その独特なスタイルは、世界中のメタル・ファンに「チュニジアにミラス有り」と強く印象づけた。『Tales of the Sands』リリース後、ドリーム・シアターやシンフォニーXらとの積極的なツアーや、プログレッシヴ・メタルの祭典、ProgPower USAやProgPower Europe(こちらはヘッドライナー!)への登場もあり、その名声は一気にワールドワイドになっていった。前作から5年のブランクを置き、満を持してのリリースとなった4枚目『Legacy』は、弦楽隊に加えアラブの笛、ネイなどもフィーチャした、まさにチュニジアのバンドというアイデンティティを前面に押し出したプログレッシヴ、メロディックかつエキゾティックな傑作となった。ミックスをイェンス・ボグレンが担当したこの作品の収録曲「Believer」が、YouTubeで500万回以上も視聴されていることからも、彼らがいかに大きな注目を集めているのかがわかるというもの。