セロニアス・モンクがコロンビアへ移籍の第二弾。前"Monk's Dream"(1963)に比べ、同じワンホーン・カルテットの録音ながら、ぐっと躍動感が増している。本盤の顔触れは当時のモンクのバンド・メンバーであり、61年からライブを重ねていた
。だから前作と本盤でさほど変化があるわけでもない単に前作で比較的無難なイメージを多く出してアルバムをまとめたため
、そう感じるのだろう。 収録音源自身は、前作のアウトテイクな62年11月収録分から翌63年3月まで断続的に吹きこまれた
楽曲はオリジナルがほとんどで、カバーは2曲。それぞれ交互に並べた配置は前作同様ながら、ビックリするくらい印象が
違う。もちろんオリジナルが多いせいもあるけれど、それにしても本作はグルーヴィだ。 前作では添え物っぽかったサック
スも、本盤はしばしば生き生き弾けた。
"Eronel"のテーマでも、ワンホーンにも関わらずビッグバンドめいた迫力ある膨らみをみせるあたり、アレンジも素敵。
彼のサックスは時に、妙にスケった奇妙な抜け感があるけれど。そんな不安定さもモンクのサウンドへ素直に馴染む。
"Monk's Dream"には入門編として敷居の低さはあった。いっぽうでモンクの個性やコクを味わうには、圧倒的に本盤を薦
る。プロデュースは前作に続きテオ・マセロ。小細工はせず曲順を工夫するだけで、これほど印象を変えられるとは。オリ
ジナルのうち新曲は、タイトル曲の"Criss Cross"。あとはカバー曲も含めて昔からのレパートリーである。しかしコロンビ
ア時代ならではの鷹揚な余裕をもってモンクは自曲を披露した。むやみに前へ出すぎないが、リズム隊も着実にモンクを支え
ている。"Monk's Dream"はあまり目立たなかったのに、この盤では仕事をきっちりこなしてる印象あり。意外と早めのテン
ポな曲が多いせいかな。いっぽうで"Don't Blame Me"のごとく、思い切りロマンティックな風景もモンクは本盤で披露した。滑ら
かとは真逆な独特の個性による、グルーヴィなのにつんのめるようなフレーズづくりやリズム感を、たっぷりとモンクは本盤
で披露した。リバーサイド時代がモンクの絶頂期だったとは思う。けれど枯れるには早い。本盤だってモンクは、まだまだ健
在だ。
1 Hackensack
2 Tea For Two
3 Criss-Cross
4 Eronel
5 Rhythm-A-Ning
6 Don't Blame Me
7Think Of One
8 Crepuscule With Nellie