彼の作品はホキ美術館に収蔵されており、観る人に時の流れと自然の美しさを伝える存在となっています。

大畑稔浩は、日本の写実画家で、光、海、自然をテーマに、細密な描写と深い観察眼で風景を描くことで知られています。1960年に島根県で生まれ、1990年に東京藝術大学大学院を修了。その後、数々の展覧会やプロジェクトに参加し、現代写実絵画の第一人者として注目を集めています。主な経歴には、1996年に宮尾登美子著の新聞小説『天涯の花』の挿絵を担当したことや、2001年に前田寛治大賞展で準大賞を受賞したことが挙げられます。また、2007年には白日会展で内閣総理大臣賞を受賞するなど、多くの賞を受け、その技術力と独自の表現が高く評価されています。

大畑稔浩「仰光」油彩 6号 2009年作
本作品は、大畑稔浩が得意とする自然と光の美しさを見事に捉えた風景画です。タイトルにある「仰光」という言葉は、空を仰ぎ見て感じる崇高な光や、自然への畏敬の念を象徴しています。画面全体に広がる穏やかな水面は、雲間から差し込む柔らかな陽光を反射し、静寂と神秘が共存するような空間を創り出しています。水辺に立つ杭や風に揺れる草は、自然の一部として控えめに描かれ、作品に生命感をもたらしています。光の表現には特にこだわりが感じられ、細やかな筆致と絶妙な色使いが、時間の移ろいや空気感をリアルに伝えています。

大畑稔浩は、光や海、自然をテーマにした作品で知られ、その絵画は観る人に深い癒しと感動を与えます。この作品もまた、自然の持つ圧倒的な美しさと、そこに秘められた静けさを描き出すことで、私たちの日常の中にある「光の奇跡」を気づかせてくれる一枚です。自然への敬意と彼の卓越した技術が結晶した作品といえるでしょう。