ポール・ギヤマン（Paul Guiramand、1926～2007）はフランス・サン・カンタン生まれの画家で、パリ国立美術学校で学び1952年にローマ大賞を受賞、1957年にはマントン・ビエンナーレ二等賞と青年絵画展マルベラ賞を受賞、1968年に初来日し、パリ市立近代美術館やシカゴ・アート・インスティテュートなどに作品が収蔵されている。官能的な赤と青を主体とした鮮やかな色彩で馬やバイオリン、女性像を描き、機知に富んだ色面構成が特徴とされる。

ポール・ギヤマン Paul Guiramand「ヴァイオリンのある静物」油彩 10号大
フランス・サン＝カンタンに生まれた画家、ポール・ギヤマン（Paul Guiramand， 1926-2007）は、官能的な赤と青を巧みに操るモダンアートの詩人として知られています。パリ国立美術学校で学び、1952年にローマ大賞を受賞。以後、マントン・ビエンナーレ二等賞や青年絵画展マルベラ賞など数々の栄誉に輝き、パリ市立近代美術館やシカゴ・アート・インスティテュートなどにも作品が収蔵されています。本作《ヴァイオリンのある静物》は、ギヤマンの代表的な色彩感覚が存分に発揮された作品です。鮮烈な赤を背景に、卓上に置かれたヴァイオリンと花瓶の花が、明快な線と平面構成で描かれています。赤と青、そしてわずかな黄色やグリーンのアクセントが調和し、まるで音楽が静かに響き始めるかのようなリズムを感じさせます。

ギヤマンにとってヴァイオリンは、単なる静物ではなく「響き」そのものを象徴するモチーフでした。花の柔らかな曲線とヴァイオリンの流麗なフォルムが呼応し、生命の鼓動と音楽的感性が画面全体に息づいています。描かれた対象は極めてシンプルでありながら、そこには色彩の詩情と構成の洗練が見事に融け合っています。静寂の中に音楽が漂い、見る者の心に豊かな余韻を残す一枚。
ポール・ギヤマンの真骨頂ともいえる、色彩と感性のハーモニーが息づく名作です。