ときおり「Our Little Angel」のように、今は亡きハンク・ウィリアムズの名曲を聴いているような気にさせられるかもしれないし、さらに「愛そうとしても/彼女は君とは正反対/まるで電動のこぎりで辞書を引いてるみたいだ」のような対句の詞を書けるライターが今やコステロしかいなくなってしまったことにも気づかされる。けれども、本作の全部が全部スライドギターをバックに家庭不和を歌っているわけではなく、「Lovable」ではかつてのコステロと同じくらい、とことん陽気で奔放な瞬間が訪れる。「Eisenhower Blues」はまさにタイトルどおりのブルース・ナンバーだ。さらに本作から半年後には『Blood And Chocolate』がリリースされ大論争を巻き起こした――そして、このアルバムが偶然にもレディオヘッドを生んだ。こうして1986年は、コステロのファンにとってあとにも先にもないまたとない1年となったのだ。
曲目リスト
1. Brilliant mistake
2. Lovable
3. Our little angel
4. Don't let me be misunderstood
5. Glitter gulch
6. Indoor fireworks
7. Little palaces
8. I'll wear it proudly
9. American without tears
10. Eisenhower blues
11. Poisoned rose
12. Big light
13. Jack of all parades
14. Suit of lights
15. Sleep of the just
16. People's limousine - Coward Brothers
17. They'll never take her love from me - Coward Brothers