マイルス人脈世代がJazzの進化とベクトルの拡散を担い行き詰まっていった80年代の後、90年代に期待の若手だったこのC.マクブライドやR.ハーグローブ、J.レッドマン等というのは
、楽器は違えどいかにストレートアヘッドなジャズを古典芸能にしないかという難しいことに
敢えて挑戦した世代だったと言えると思う。(実際、仲いいよね、彼ら。)クラブ・ミュージックの
洗礼を受けたジャム・バンド世代とジャズ・ジャイアンツ世代の挟まれた彼らは、しばしば新古典派と
包括されることからも分かるように、進化のスリルという点では「谷間の世代」と言えるのは否めない
だろう。僕もジャズに未だ進化のスリルを求めるリスナーなのだが、一方、彼らと同世代でバブル
崩壊後に社会人になった身としては、手詰まり感満載の空気の中で地道なステップを重ねてきた
彼らの活動には共感を覚えてもいる。
本作品はマクブライドのソロ2作目だが、この作品の前で既に90枚以上のアルバムに参加し
てきた人だけあって、テクニックと安定感は申し分無い。クラシックな楽曲ではC.コリア(1、3、6曲目)や
M.シネル(10曲目)というビッグ・ネームに往時を彷彿とさせる演奏をさせながら、自らの書下ろし
では新古典派らしい理知的なスイング感にファンク風味のグルーヴを混ぜたりもしている。この辺
の細かいバランス感覚が本人曰く「90年代の音」だった訳で、アルバム全体を通すとそれまで
無かった音にきちんと仕上がっているんですよね。古いんだけど新しい。天才ですなあ。
| 1 Whirling Dervish
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| 2 Youthful Bliss
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| 3 Tones For Joan's Bones
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| 4 Egad
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| 5 Miyako
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| 6 Divergence
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| 7 Jayne
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| 8 A Morning Story
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| 9 Grove
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| 10 Little Sunflower |