煙が水のように流れるとき (デヴラ デイヴィス、和波雅子訳,ソニーマガジンズ2003)
単行本ハードカバー: 431ページ
ISBN-10: 4789721612
ISBN-13: 978-4789721615
商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 3 cm
環境問題を扱う米国屈指の疫学者が、これまで隠されてきた深刻な汚染の実態と、
科学者たちの闘いを白日の下にさらしたノンフィクションである。
著者は連邦大気浄化法成立の発端となったスモッグ事件で知られる町、
ペンシルベニア州ドノラの出身。工場の排煙が数千人に被害を与えたこの事件をきっかけに
疫学者を志し、現在はWHOをはじめ一流機関の重責を担っている。
本書は3部構成で、第1部の「語り継ぐべき歴史」ではドノラやロンドンなどの排煙による大気汚染と、
初期の先駆的な研究の成果を紹介。第2部では発癌物質や環境ホルモンといった広範でとらえがたい
現在進行形の汚染を扱い、第3部では温室効果ガス対策の将来像を模索しつつ、警鐘を鳴らして終わる。
「公衆衛生研究というものは、ある大きな母集団内の大勢の人々が特定の病気で死ぬ可能性について教えてくれる。
しかし、こうした研究では、特定の個人が亡くなる理由はわからない」のが汚染問題の難しさだ。
たとえば、ある時、ある場所で、大気汚染が悪化したために死亡率が1割上昇したとする。
ところが、その時期にある人が心臓発作で死んだのは大気汚染が原因だと言い切れないことが多い。
この曖昧さが因果関係を見えにくくし、失業を恐れた住民の抵抗や、利益を追求する企業の科学者への
ネガティブキャンペーンなど、さまざまな問題を引き起こしてきた。環境ホルモンや温室効果ガスなどに至っては、
その影響でさえあまりに複雑で、政治家たちはいまだにまともな議論を交わせないでいる。
過去から現在まで豊富なデータを引用し、汚染の実態とそれを取り巻く人々の行動を落ち着いた筆致で
綴る著書の言葉は、説得力に満ち、極めて重い。「完璧さはいつまでも善の敵」というように、
厳密に汚染の被害を証明するのを待っていては締め切りに間に合わないだろう。
結局、有効な対策を実現するには人々の意識を変えるしかない。
汚染への理解を深めるだけでなく、環境問題に渦巻く欺瞞やエセ科学にだまされないためにも、ぜひ手にしたい1冊だ。
レイチェル・カーソン『沈黙の春』以来の衝撃作!
世界有数の疫学者が、権力におもねる科学者たちの実態を暴く!
大気汚染や環境ホルモン、フロンガス、温室効果ガス……悪化する地球環境をどうする?
1948年10月26日、米ペンシルベニア州の製鉄の街ドノラは、朝から濃い霧に包まれていた。昼頃にはもう通りが見えなくなり、まもなく眼の前の手さえも。それでも工場は休む間もなく操業を続け、有毒な煙霧を放出していた。やがて市民の多くが異常を訴え、濃霧が街を襲った数日間で20人が死亡(翌月には50人)、数千人が病に倒れる大惨事に―その昔、ドノラで暮らしていた著者は、このスモッグ事件をきっかけに疫学の道を志す。そして、環境問題の世界的権威となったいま、自らの良心に従って、これまで明らかにされなかった環境汚染や科学者の実態を白日の下にさらす。大切な命を汚染から守るために―「汚れた世界は経済成長の代償」とはとんでもない言い逃れ。世界を震撼させた勇気ある告発。
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