言葉を扱うことの難しさと、コミュニケーションの多様性を探求する一冊。
しゃべれるほうが、変。
何かしゃべろうとすると最初の言葉を繰り返してしまう(=「連発」という名のバグ)。
それを避けようとすると言葉自体が出なくなる(=「難発」という名のフリーズ)。
吃音とは、言葉が肉体に拒否されている状態です。
しかし、なぜ歌っているときにはどもらないのか?
なぜ独り言だとどもらないのか?
本書は、従来の医学的・心理的アプローチとはまったく違う視点から、
吃音という「謎」に迫った画期的身体論です!
【本文より抜粋】
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吃音について考えることは、たとえばマリリン・モンローが、
あるいはルイス・キャロルが、あるいは田中角栄がどんなふうにしてしゃべっていたのか、
それを仮説的に追体験することでもあるわけです。
彼らは、私たちとは少し違う仕方で、言葉が体から出てきていた。
それはいったいどんな仕方なのか。
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吃音は、「言葉がどもっているかどうか」では、なかなか片付かない障害なのです。
あくまで「体がどもっているか」に焦点を当てたい。
本書のタイトルが「どもる体」なのはそのためです。
本書は、身体論としての吃音論です。
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意識的な介入さえも飲み込んで生成していく体と付き合うこと。
どもる体を持つとは、このもどかしさ、ままならなさに絶えず引き戻されることを意味します。
コントロールを旨とする社会のなかでは、このもどかしさ、ままならなさはたしかに具合が悪い。
でもそもそも私たちの体とは、
そのような全貌を知ることのできない生成によってつくり出されています。
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本書は、あくまで「どもる」という経験にこだわり続けます。
それを症状ではなく経験としてとらえ、その意味を見出したい。
どもるとき、当事者のなかではいったい何が起こっているのか。
それはどのような出来事であり、当事者はそれとどのように付き合っているのか。
そこには、人間がこの「自分のもののようで自分のものではない」体を抱えて生きることの
本質があるように思えるからです。
- 著者: 伊藤亜紗
- タイトル: どもる体
- 出版社: 医学書院
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どもる体 (シリーズケアをひらく) 伊藤亜紗/著