■アーティスト■ Valeria Lobaoヴァレリア・ロバォン
■ タイトル ■ 「Chamada」
□ レーベル □ Olho Do Tempo(輸入盤)
□ リリース □ 2012年
コーラス・グループで培った歌唱力と、蒼く麗しい円熟のフェニニズムで綴る、芸術的音像のMPBリリース。ペドロ・ルイス、ジルソン・ペランゼッタ、マルコス・サクラメントら実力派ミュージシャンも参加した注目作
アートワークさながらの、蒼くて尊い響き・・・優美で洗練されたMPBサウンドの魅力をそのまま伝える、感動的な作品が登場。
リオ出身の♀シンガー、ヴァレリア・ロバォン。丸みのある伸びやかな歌唱と、優しくて力強い表現力を持つ彼女のソロ・デビュー・アルバムだが、プロとしてのキャリアは20年に及び、ミュージシャンズ・コミュニティでもその実力を知られる女傑だ。1992年にコーラス・グループ「EQUALE」の一員となり、ユニット内でも最も高いスキルを持つインタープリターとして話題となる。そんな彼女の魅力に目をつけたのは、本作のプロデューサーでもあるピアニストのカルロス・フッシ。彼はマルコス・サクラメントとデュオ・アルバムをリリースするなど、アーティストティックなプレイヤー/アレンジャーとして一目置かれる存在だ。
ヴァレリアの表情豊かなヴォーカル・ワークを、選び抜かれたレパートリーと、曲毎に施されたドラマティックなアレンジで演出する全13トラックは、どの曲も見事。ガフィエラ・スタイルのサンバ編成でありながら、感傷の心地を生み出すオープニング・サンバ「FUBA」。先述のコーラス・グループ「EQUALE」をフィーチュアし、静かな主張を豊かなアコースティック・サウンドで綴るタイトル・トラックM2、ブラジル鍵盤奏者の最高峰、ジルソン・ペランゼッタをゲストに迎え、そのジルソンとドリ・カイーミ、パウロ・セザール・ピニェイロの共作による印象的な旋律のM3、続くM4は、アコーディオン・ソリストとして頭角を現すBEBE KRAMERをフィチュアしたオーガニカルな逸品。メロウでいて趣のあるマイナー・ノートのサンバM5も奥深い。ミルトン・ナシメントのナイーブな名曲M6、ピアノ・トリオをバックに凛とした表情を伺わせるミディアム・ナンバーM7は、マルコス・サクラメント作。
ギター名手ゼ・パウロ・ベッケルの楽曲を取り上げ、不協和音然とした1ホーン・ジャズの洒脱なトラックM8、ホドリゴ・マラニャォンのM9は、カルロス・フッシのピアノとのデュオで、一音ずつをかみ締めて呼応する。ヴァレリアのソロ・デビューにも大きく作用した歌手マルコス・サクラメントをゲストに迎えたM10は、シンフォニックな背景がアクセント。アフロ・ルーツのリズム「ジョンゴ」をパーカッション、ストリング・ギター、フルート・アンサンブルで麗しく昇華させたM11は、ゼ・パウロ・ベッケルとパウロ・セザル・ピニェイロの作品。今をときめくペドロ・ルイス率いるア・パレージをゲストに迎え、ミニマルなパーカッション・アンサンブルと繊細なヴォイスがシンクロしたM10はハイライト。ラストは、ギター、アコーディオンのみをバックにしたノルデスチ・アップ・デート・トラックで、まるでモーダルなタンゴを聴いているかのような余韻を残しつつ、幕を閉じる。
派手さは皆無であるのに、確かな聴き応えを覚えるこの1枚。ヴァレリア・ロバォンという真のシンガーが持つ価値観と、その魅力を支える最高のミュージシャン達の創造性が見事に結実。耳の肥えたブラジルMPBファンの心を潤す、上質の音がここにある。
■ 収録曲 ■
01. Fuba
02. Chamada
03. Vivencia
04. Roma
05. Um Samba
06. Tarde
07. Noite
08. Roda Baiana
09. Uma Cancao Pra Ela
10. Oracao Perdida
11. Jongo da Vovo
12. Ritual Profano
13. La Dolce Vita - A Saideira