2000年1月8日発売。型式名“GF-CP9A”。通称“エボVI T.M.E”または“エボ6.5”。
当時の三菱のWRCワークスドライバー、トミ・マキネンの4年連続ドライバーズ・チャンピオン獲得を記念して、
マキネンの名前を冠した特別仕様車。比較的高速なターマック (舗装路) ラリーを意識して、前部のバンパー形状を中谷明彦の意見を基に見直し、
足回りは従来より10 mmダウンしたターマック仕様サスペンション(フロント:エボV、リア:エボVI)、
フロントストラットタワーバーを採用した。なお、RSではターマック仕様サスペンションはメーカオプション
(標準はフロント・リアともエボ6のグラベル仕様)。
その他、GSRでもRSのクイックステアリングギアが採用された。イリジウムプラグや、プラスチック製クーリングパネルも採用された。
GSRでは、新型のハイレスポンスチタンアルミ合金ターボチャージャー採用により、中低速トルクとレスポンスの向上が
図られた(コンプレッサーホイール径の小型化及び翼形状の変更。最大トルクの発生回転数がエボV、エボVIよりも低くなった。
エボV、エボVI 3,000 rpm→エボVI TME 2,750 rpm)。
マフラーもVIまでの楕円のテールから真円の大口径マフラーへ変更されている。出力などの動力性能での大きな変更点はなかったが、
完成度は確実に上がっていた。なお、RSでは新型のハイレスポンスチタンアルミ合金ターボチャージャーは、
メーカーオプション(標準は、従来RSに使われていたチタンアルミ合金タービンホイールのターボチャージャー)。
インテリアは黒色と赤色の基調になり、シフトノブとシフトレバーブーツ及びステアリングホイールはレッド
ステッチのものを採用、
計器類も赤い文字盤となり、TOMMI MAKINENロゴ入りの赤い
レカロ社製シートも採用された。
ホイールは、
ENKEI社製の白塗装10本スポークホイールに変更(ENKEI WTE IIに酷似)された。用意されたボデーカラーは、
スコーティアホワイト、サテライトシルバー、ピレネーブラック、カナルブルー、パッションレッド。
パッションレッド・ボディーカラー車には、WRCワークスマシンをイメージしたスペシャルカラーリングパッケージがオプションで設定された。
1997年から導入されたWRカー規定によってライバルが広い改造範囲で戦力を上げるにつれ、ランサーも改良のレベルでは対抗出来なくなってきたため、
2001年にワールドラリーカーへの移行を決定。その特例措置として、ストロークを増大したリアサスペンションと
軽量フライホイールを装着したエボⅥ TMEで前半戦を戦い、後半戦のサンレモでランサーエボリューションWRCを投入した。
同車種は2001年度のWRCに参戦し第1戦モンテカルロでの優勝で通算119勝目、同年第3戦(ポルトガル)にて120勝、
第8戦(サファリ)のCS2で首位を独走、そのまま121勝目をマークした。
ドライバー及びナビゲーターは3戦とも同じく「T.マキネン」と「R.マニセンマキ」。
2000年シーズンから使用されたワークスマシンはフロントバンパーの形状は市販車に似ているものの、
サイドのカナード形状がダウンフォースを発生させるとして縮小されている。
グラベルでの使用に対してはリップ部分も最初から外されていたため、比較的おとなしい外観となっていた。
2001年シーズンは第1戦モンテカルロ、第3戦ポルトガル、第8戦サファリで優勝したが、セディアベースのWRカーへの移行に伴い、
市販のランエボをベースにしたワークスマシンの系譜は終焉を迎えたがグループNではタイトルを獲得した。
駆動系の改造範囲が広かったグループAとは異なり、改造範囲の狭いグループN規定のため、RSには多彩なメーカオプションが設定されていた。
RSのメーカーオプション:スーパークロスギアHi/Lo(GSRに比べ3/4/5速をクロス化)、
薄板ボディ仕様(インパクトバーのレスオプション、ルーフパネル・トランクリッドパネルの薄板化)、
ハイレスポンスチタンアルミ合金ターボチャージャー、ツインプレートクラッチ、ターマック仕様サスペンション、
17インチホイール、ブレンボキャリパー、AYC、エアロパーツレス仕様、リアワイパー、寒冷地仕様。