①オスマン帝国の崩壊:中東における第一次世界大戦 ユージン・ローガン 白須英子
《斯界の権威による中東近現代史の必読書!
現代の混沌とした中東情勢の淵源をたどる》
中東混迷の遠因となった大戦と戦後処理の過程をトルコ側・アラブ側の体験とともに克明に描き上げた歴史大作。斯界の権威による、学識と読みやすさを兼ね備えた中東近現代史の必読書。
「中東における連合国の戦争努力の大半は、ジハードに対するいわれのない恐怖によって駆り立てられたものだった。植民地のムスリムが概してオスマン帝国のスルタン=カリフの呼びかけにすぐに反応しなかったのに対し、ヨーロッパの帝国主義大国は、トルコ軍の勝利、もしくは連合軍の後退は、インドや北アフリカの彼らの植民地で恐るべきイスラーム教徒の蜂起をかき立てるのではないかと想定しつづけた。(…)これは100年後の今日に至るまで続いていて、欧米諸国はムスリムが集団で狂信的な行動をとるのではないかという懸念を捨てきれていない。2001年9月11日以降のテロとの戦いが示しているように、欧米の政策策定者たちは、ジハードを1914年から18年にかけての戦争計画者と同じ思いで眺め続けている。」
久しく「ヨーロッパの病人」と呼ばれながら驚くほど長生きしたオスマン帝国――。19世紀末から第一次世界大戦を経て帝国終焉に至る過程について、これまでは戦勝国側の史料によってのみ語られることが多かった。しかし本書は、トルコ語とアラビア語で書かれた史料を駆使して背景を読み解き、「大戦」期における中東の動静をオスマン帝国側の視点から生々しく描き出していく。
ダーダネルス海峡をめぐるガリポリの戦いやメソポタミア戦線など、中東とその周辺における戦況について詳述する一方、本書はオスマン帝国の敗北と、連合国によるその後の領土分割についても多くのページを割いている。この戦後処理が、現在の中東のありように計り知れない影響を及ぼしているからだ。「フサイン=マクマホン書簡」や「サイクス=ピコ協定」「バルフォア宣言」といった一連の協定は一般に英国の二枚舌、三枚舌と片づけられるが、本書はあくまで戦時情勢の成り行き上の戦略として生まれたものと位置づけ、その成り行きを丁寧に説明する。
斯界の権威による、学識と読みやすさを兼ね備えた中東近現代史の必読
②ビザンツ 驚くべき中世帝国 ジュディス・ヘリン 著 井上浩一 監訳
千年にわたる歴史を、政治・宗教・文化・経済など28のテーマを通して、西欧やイスラームとの関係とともに立体的に解説する。
重要なテーマと時代の流れを同時に把握する一冊
千年にわたる歴史を、政治・宗教・文化・経済など28のテーマを通して、西欧やイスラームとの関係とともに立体的に解説する。
28のテーマで読むビザンツ帝国史
ビザンツは、四世紀に東西に分かれたローマ帝国の東側に始まり、十五世紀にオスマン・トルコに征服されるまで、大帝国から最後は地方の小国に縮小しつつも、千百年あまりにわたって東地中海を中心に存続した。だが、世界史のなかで重要な位置を占める国家でありながら、これまで日本では今ひとつなじみが薄かった。
本書では、「ラヴェンナ・モザイク」「ギリシア正教」「聖像破壊運動と聖像崇敬」「ビザンツの経済」「宦官」など、政治・宗教・文化・経済等に関する二十八のテーマが時代順にならび、西欧やイスラームとの関係のなかで、立体的に解説される。七百年にわたって地中海貿易で活躍したノミスマ金貨に彫られた図像の変化や、「書評の発明者」といわれる九世紀の文人など、興味深い情報も多い。ビザンツの文化は当時からヨーロッパ諸国の羨望の的であった半面、ヴォルテールやギボンなど、後世の思想家・歴史家から激しい中傷も受けてきた。その偏見についても原因が考察される。
近年のビザンツ史研究の動向を反映し、西洋史ファンの期待にも応える、ダフ・クーパー賞受賞著者による一冊。
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