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こちらは伝説的な怪奇漫画家として知られる徳南晴一郎、その後の一連の怪奇、怪作群へと連なる作品の1つ、60Pもの力作、市川誠一の名義での「雪とペストとトミーガン」(1961年の作品)が掲載された「黒幕に聞け ハイティーン」です。刊行は載っていた作品が1961年11月~12月くらいの作品のため、1962年初頭あたり。曙出版。カバー付き、貸本。比較的美本。
状態は良好で比較的美本。カバーはビニールカバーで貼り付け、天に貸本印、中は貸本にしては綺麗な美本。良好な個体です。★近年、の画像を無断収集して、ものがないのに勝手にAmazonや偽サイトで勝手に珍しいものの画像だけ収集して違法販売している連中がいるため、オークション終了後も画像取り込まれることも多々あるので、無断転載無断転売違法販売禁止の文字入れてますが、実際の本にはありません★
もとから出版された当初からこの本はそうなのですが目次項目が大幅に間違っていたので最初の写真には敢えて載せません。4Pから川田漫一「勇次郎シリーズ36 死の断層」(貸本時代、「ブルースの勇次郎」シリーズとして知られていた曙出版での人気作)48Pまでの45P(当時の編集人、漫画家にも確認してますが、もともとこのように出されたもの)。
長谷邦夫、1961年12月の作品「夜の旅」49~72Pの24P-夜行列車で隣り合わせの美女と話し込む男、話しているうちに眠りにつき、殺し屋だった男の記憶がよみがえる。ボスを殺せと命じられ、殺し屋を抜けさせてくれなかった過去。今彼を追う刑事たちが到着。
窓から飛び降りる。夜行列車には苦い記憶しかない。敵のボスをバーで撃ち殺したかと思うと、ボスの裏切りに。そして思わず、、、。今は凍てつく寒空の中、お母さんを思う。「一人ぽっちにしてごめんよ」と。果たして男の運命は、、、。この頃の絵は赤塚不二夫やちばてつや、石森章太郎らの影響もあり(長谷邦夫はトキワ壮にもよくお邪魔していた)、特に赤塚の絵に似ている(それもあって後、赤塚不二夫がアシに誘うー赤塚四天王の1人として赤塚の右腕として多くの作品の代筆も担う)。
73~77まで長谷邦夫のおまけページ、78,79は川田漫一のおまけ。
80~139Pまでが徳南晴一郎作品としては珍しいガンアクション劇画。のちの怪奇怪作漫画劇画群に連なる描写が早くもみられる重要な作品。1961年12月前後の作品ー1962年の一連の怪奇大作「化猫の月」 「猫の喪服」 「人間時計」 らへと連なる。1959年辺りはまだ丸っこい絵でしたが、この頃にはあの怪奇漫画の絵に。
市川誠一の名は徳南晴一郎の名での怪奇描写にクレームが多くあったため、一時は市川誠一の名義で描いていたが、やはり随所に不気味な描写が見られ、怪奇作品として見られがちだった。徳南晴一郎としては珍しいガンアクションもので新境地を目指した作品だが、やはり独特な怪奇へ連なる描写が見られ、「人間時計」もこの影響下にある。
東京衛生都市Q市に降り立つ男、久々にあの男が返ってきた。画家とガンマン。2つの顔を持つ男、南条研二、自分を逃がすために殺された刑事の敵を討つために。
見舞いのために母親に会いに、コチコチと不気味な時計の音が鳴る。ボォ~ン。そこで妹が不動産屋で働いていたことを知り、会いに行く。
さっそうと殴られていた男を助けると、大須賀一家の一味は捨て台詞をはいて逃げる。大須賀物産はこの街を牛耳る暗黒街のボスだった。警察もその手下。兄貴を連れてきて大ピンチに。
大ボスの大須賀竜が電話口に。どうやら密輸や密航も手掛けている。容赦がなく、今度電話してきたら「みな殺しの歌」のレコードを聴かせるように忠告。
男たちに囲まれ、「殺すのは待ってくれ」と急に弱気になる南条研二、さっきまでの威勢はどこへいったのやら、、、。畑美奈子という一人の女性に合わせてほしいと願い出る。兄の事を話してもつれない返事。次男の片目の男、アニキ次郎が兄に似ているという。諭すと、もう時間だわと女は逃げ出し、恐怖の人間シューティングが始まる。
すさまじい銃撃。昔の人間はレミントンのライフル銃などにあこがれた世代も多く、ここでもレミントン244が登場。銃撃の嵐の中、海に散る。果たして、南条の行方は。
一方、Q市にペストが発生し、大騒ぎに。大須賀一家は患者殺しを決意する。次郎、と三郎に殺しを命じる。一方東京から腕の立つ部長刑事が到着。顔見知りのある男と接触。そして、刑事だった畑さんの妹美奈子さんに逃げるよう伝える。そしてあの男の伝言も。
各地で銃撃の嵐。ペストはコロナと同じく猛威を振るい、大須賀一家にも襲い掛かった。三郎が発症し、次郎がその手で。逃げ出そうとする者も。粛清の嵐。そこにあの男が返ってきた。警察署長の車を奪い、警察に預けられたベレッタの銃を携えて。次郎との一騎打ち。美奈子さんの行方を聞くも「黒幕に聞け」との一点ばり。空の文字。
ヘリで逃げようとする大須賀竜、美奈子も連れて行こうとする。その時、彼がさっそうと登場。果たして。徳南晴一郎作品としては珍しくここまで熱い作品ですー見てきた中では一番熱いー徳南晴一郎作品です。この激しくすさまじいやりすぎ描写はのちの1962年の「化猫の月」「人間時計」などでも発揮されます。この頃の作品は特に評価も高くレア度も高く今では数十万円します。コロナ禍という特殊な環境を生き延びた今の私たちにはより共感するテーマかも。入手困難な1冊、幻の徳南晴一郎のガンアクション漫画、お楽しみいただければ、と思います。
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