京都を代表する金工師として名高き『金谷家』とは
豊臣秀吉からの寵愛をも獲得した
極めて高尚なる名家と成っておりますが

それ程までにも由緒正しき『金谷家』の中でも
歴代随一の名工と謳われる九代目とは
輸出向けの特別な作品にも注力し国内外の博覧会にて
数多くの受賞を果たした事でも高名です。

そんな九代目の作例の中でも今作とは
槌目の素地に驚異的なる高浮彫によって
斬新かつ精妙なる『蝉』が象嵌された

一見するだけでも何かしらの博覧会への『出品作』
で在ろうと言う事が容易に窺い知れます
唯一無二の傑作品と成っております。

(時代)
明治期

(寸法)
高さ(33.3cm)
横幅(17.5cm)
重量(2740g)

(状態)
明治期に制作された『古美術品』ですから
至極当然と言えます僅かな擦れ等は御座いますが
それ以外には特筆すべき箇所の無い
無傷完品レベルと成っております。

　
英国はロンドンからの里帰りを果たした今作とは
国内向けの作品では無いからこそ
此れ程までにも見事なる造形美が実現した
博物館級の別格品と成っております。

　
金工の作例の中でも此れ程までの『高浮彫』には
大袈裟では無く
生涯でもそう何度もは出逢う事は叶いません。

　
鏨の妙技が冴え渡る
本筋の超絶技巧作と成っております。

　
凡庸なる素地とは異なった
極めて手の込んだ『槌目』の素地を御覧に成れば
今作に注ぎ込まれた九代目の意氣込みは
容易に御解り頂ける事かと想われます。

　
今作に限りましては
二度とは御眼に掛かる事の叶わない
そう言った類いの別格品と成っております。