【深和】近衛信尹 消息軸装「楊林院の文」広橋兼勝宛 慶長十四(1609)年七月十九日付 真筆(中世文書 古文書 猪熊事件 公家 公卿 書状) 收藏
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| 商品説明 |
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近衛信尹の消息です。 権大納言・広橋兼勝に宛てた書で、前半が焼失しておりますが、「楊林(楊林院、柳原淳光後室)」に面会してきたので、「一筆申候儀」について明日にはお定めがある筈なので、広橋も楊林院の元に「いとま乞」いただけないかと尋ねる書状です。 楊林院は夫淳光の没後信尹の妹・中和門院前子に仕えておりましたが、家康が上洛の際柳原淳光邸を宿所とし、楊林院の女中・お亀(相応院、徳川義直の母)を側室とした縁で、徳川家康と公家衆の特殊なパイプ役として活躍した女性です。楊林院の活躍中、信尹および広橋兼勝両人が関係した事件といえば、慶長14(1609)年の「猪熊事件」が存します。 本書状は同年7月19日の書とみられ、『孝亮宿禰日次記』によれば前日には関白・九条幸家邸に於いて摂家方・八条宮(智仁親王)・京都所司代板倉勝重が伺候、19日にも件の公家・女中衆に「可有罪科之旨」が沙汰されたことが知られます。前々日の17日に後陽成天皇から関係者の死罪が命じられておりましたが、従来の公家の法に死罪が存しなかったこと、そして調査の進展により大人数が関与していたことが判明したため、詮議が長引いたとみられます。 そしてこの猪熊事件は他でもない広橋兼勝の娘・広橋局が発端であり、兼勝はこの時謹慎の身にありました。家康上洛も風聞が出回っていた当時、娘の不祥事のせいで公家社会の存亡が懸っており、家康への説得のため出立間近とみられる楊林院に一縷の望みを託した心情が思いやられます。 猪熊事件が落着した後も楊林院は信尹の全面の信任を受け、相国寺との間の慈照寺銀閣返還を巡る紛争にも関与し駿府へ下向したほか、娘・太郎君の世話も依頼した形跡が見られるなど、信尹の後半生、そして烏丸光広の助命など、近世初期の文化史に大きな影響を遺した 女性といえるでしょう。歴史の一頁といえる逸品です。 ◆近衛信尹 織豊-江戸前期の公卿。近衛前久の子。豊臣秀吉・秀次のため関白になれず,天正20(1592)年左大臣を辞す。文禄の役の際,朝鮮にわたろうとして後陽成天皇の怒りをかい,薩摩に配流。のちゆるされ,慶長10(1605)年関白,氏長者。慶長19(1614)年没、50歳。初名は信基,信輔。号は三藐院。日記に「三藐院記」。 ◆広橋兼勝 織豊-江戸前期の公卿。広橋国光の子。天正8(1576)年参議兼左大弁。権大納言をへて,従一位,内大臣。慶長8(1603)年から武家伝奏をつとめ,権勢をふるった。元和8(1622)年没、65歳。 ◆楊林院 織豊-江戸前期の公家女性。柳原淳光の後室。近衛前子(のち中和門院)に仕える。慶長14(1609)年猪熊事件に連座した公家衆・女中方の赦免のため奔走。信尹や公家衆と徳川家康の連絡役として活躍した。松花堂昭乗の実母説が存する。 〔本文〕 □万□□可申□□□□ 楊林まて参候間、一筆申候 儀明日仰定候哉、ちと楊へ いとま乞ニ御越候はぬ哉、 かしく 十九日 「(墨引) 広亜相 尹」 付属:桐箱が付属します。 寸法:高さ106cm、幅58cm(最大幅。若干の誤差はご了承下さい) 状態:焼損によるイタミがございます。 |
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| _NJ972__2025/11/22 |
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