文房具が歴代の文人に愛されてきた理由は、実用価値だけではなく、それらが内包する豊かな文化、芸術、歴史的資料としての価値にあります。『蘭室長物：歴代文房芸術』は、韓天衡氏による序文「蘭室長物話文房」で導き、歴代の書画、器物など文房芸術の代表的傑作と時代の精品600点以上を収録するだけでなく、巻末では各分野の専門家を招き、学術的観点から「文房」について論じています。上海大学美術学院教授の徐建融氏による「文房中の書画」、韓天衡氏による「好硯・説硯・蔵硯」、上海博物館工芸研究部主任の包燕麗氏による「彫飾之美—蘭室長物漆器英」、中国篆刻藝術研究院研究員で在日芸術家の鄒濤氏による「伝統中国文房雅玩在日本」、韓天衡美術館副館長の張羽氏による「丹泥素楮鉄筆印灯—『蘭室長物』中の印章と印譜」、上海博物館工芸研究部副主任の施遠氏による「文心と匠芸—雅玩彫刻の美」、韓天衡美術館芸術監督の韓回之氏による「文房—文人の精神的家園」が収録されています。

 

序文
蘭石宝物研究
書画
唐代 匿名楷書 大般若経
唐代 匿名楷書 灌頂経
宋代 馬麟作「松渓舟停泊図」
明代 文徴明作「甘子文」冊行書
明代 文徴明作「春節挨拶」行書
明代 文徴明作「古樹奇石扇面」
明代 文徴明作「山水扇面」
明代 丁雲鵬作「太平洗象図」
明代 董居易昌作「王維詩画」
明代董其昌の楷書扇面図
明の張瑞図の四字連句「秋衛布」の行書
明の呉斌の阮秀肖像
明の呉斌の漢中離の精緻な筆致
明の黄道州、行書、恭しく勅文を朗読する様子
清の苧山、李余ら七人の書簡
清の苧山の草書五字詩
清の李志の葦岸二羽鷺図
清の無名画家による花籠の精緻な図
清の金農の官書による古歌
清の金農の官書による鶴頌清代
清代朱一尊作「書楼の印章片扇面図」
清代閔振作「劉海が金蝦蟇と戯れる図」
清代劉勇作「行書詩写本」
清代鄧思如作「延義殿五字詩」
清代巴衛祖作「自制と師の律」柱上八字連句
清代西剛作「花巣」官字横掛軸
清代李秉寿が欧陽詢の書を模倣した書
清代陳洪寿が陸坤の「嘆言修身」を行書したもの
清代陳洪寿の蘇東坡詩「王雲楼」の行書
清代何少吉の五字聯「巻を掴む・筆を取る」の官筆
清代何少吉の張延元「画論」の行書（扇子）
清代任雄の「小営州金門外」の扇子
清代清緒谷リス図
清代清緒谷水仙扇子
清代徐三庚の王宝「聖君得徳臣頌」の篆書（四面）
清代趙志謙の七字聯「時宜・好年」の篆書
清代趙志謙の行書『金門』『台灣銀河』七字連句、趙志謙の五字行書詩、任伯年の金雉図扇、任伯年・朱徳義の花鳥図官扇、呉昌碩の石鼓銘四幅模写、呉昌碩の霜生菊図、呉昌碩の篆書横巻、呉昌碩の行書蘭芭蕉図扇、呉昌碩の墨書梅図扇、黄石玲の手描き防址図横巻、沈増之の行書詩横巻、沈増之の行書扇、陸隠の山水扇、器物